玄関近くのトイレって実際どうなの?玄関近くのトイレを快適にするコツ

ひと昔前まで、玄関や水回りは北側に集める間取りが一般的だったため、玄関近くにトイレがあるお宅は少なくありません。以前は当たり前の間取りでしたが、最近は新築やリノベーションの間取り変更のタイミングであえて、玄関近くにトイレを配置するケースもあります。一方で、玄関から離れた場所を選ぶお宅もあります。間取りを考えるうえで、玄関近くにトイレがあるのは、実際のところ良いのでしょうか?

玄関近くにトイレを配置した方が感じているメリットとデメリット、また、玄関近くにトイレを設ける場合、快適な空間にするためのリフォームのポイントをご紹介したいと思います。

1. 玄関近くにトイレを配置するメリット&デメリット

玄関近くにトイレを配置することには、どんなメリットとデメリットがあるのでしょうか?玄関近くにトイレを配置した方が経験している良さと、問題点をご紹介したいと思います。

■玄関近くにトイレを配置するメリット

●出かける前・帰宅後すぐにトイレにいける 

玄関近くにトイレを配置する最大のメリットとも言えるのが、出かける前や帰宅後すぐに用を足せるという点です。幼い子供がいるお宅では特に、トイレに行ってから出かける意識づけがしやすくなりますし、帰宅の際も玄関からの導線が短いためにすぐに駆け込むことが出来て、お漏らしを軽減できます。

●来客者を家の奥に入れずにトイレを貸せる 

玄関近くにトイレがあれば、玄関までの来客者を家の奥に入れることなく、トイレを貸すことが出来ます。プライベート空間を守るうえで最適な場所です。

●居室への音・臭い漏れを気にしなくても良い 

居室に近い場所にトイレを配置すると、トイレ使用時の音や臭い漏れが気になるというお宅は少なくありません。トイレの芳香剤や香り付きトイレットペーパーの香りが、居室まで入ってくることもあるため、そもそも、居室から離れた場所に配置することで、臭い漏れを気にせずにすみます。しかも、臭い漏れをした場合でも、玄関ドアの開け閉めによって空気が循環し、臭いがこもりにくいというメリットもあります。

■玄関近くにトイレを配置するデメリット

●玄関に来客者がいると使いづらい

来客者にトイレを貸しやすい反面、玄関先に来客者がいると住人の方がトイレを使いづらいというデメリットがあります。音が聞こえないか、臭いが漏れてしまわないかと、ゆっくりトイレをすることが出来ないかもしれません。臭いが漏れてしまうと、玄関まわりまで不快な臭いになってしまうこともあり、トイレのタイミングに気を使うというお宅は少なくありません。そのため、玄関先で対応する来客者の多いお宅では特に、デメリットになる配置といえます。

●寒くなりやすい

日当たりの良い場所を居室に使うことが一般的なので、玄関まわりは居室に比べ寒くなりやすい傾向にあります。しかも、玄関の開け閉めによって外気が入ってくるうえ、一般的に玄関では暖房機器を使うことはないので、トイレも寒さを感じやすくなります。冬は、暖房を使っている居室との温度差が激しく、ヒートショックの原因ともなりえて危険です。寒さが苦手な方やトイレで長めに過ごすという方は特に、玄関に近いトイレは要注意です。

●トイレまでの導線が長くなりがち

一般的にリビングなどの居室は日当たりの良い南側、玄関は北側に配置して分けることが多いため、玄関近くにトイレを設けることで、日ごろ使っている部屋からトイレに行くまでの距離が長くなりがちです。また、寝室からトイレが離れている間取りも少なくありません。家にいる時間が長い人は、部屋とトイレの導線が長いと、トイレの度に不便さを感じてしまうかもしれません。特に、幼い子どものトイレトレーニング中や、介護が必要な方がいる場合、高齢になってトイレの頻度が増えた場合などは、トイレまでの距離を短くすることを意識しておくことは重要です。

2. プロが教える玄関近くのトイレを快適にするコツ

上記で取り上げたように玄関近くのトイレにはメリットもありますが、デメリットもあります。そこで玄関近くでも、デメリットを軽減して快適なトイレにするためのリフォームのコツをプロがお教えします。

■開き戸で音漏れ・臭い漏れを防ぐ!

音漏れや臭い漏れえを防ぐために、トイレドアの種類を意識することが出来ます。ドアを、壁や床とドアの間に隙間が出来る引き戸ではなく、気密性・遮音性の高い開き戸を選ぶことによって音漏れや臭い漏れを軽減できます。開閉時に邪魔にならず、バリアフリーの点からは引き戸にメリットがありますが、音や臭い漏れを軽減することを優先するのであれば、開き戸の方が安心です。

また、開き戸であれば、玄関からトイレが丸見えにならないように、配置とドアの開閉向きによって目隠しにすることも出来ます。

さらに、臭い漏れを防ぐ点では、ドア以外にも脱臭効果のある便座を選んだり、消臭効果のある壁紙や珪藻土を使用したり、換気扇を設置したりすることも効果的です。

■寒さ対策を意識する!

玄関近くのトイレは寒くなりやすいので、寒さ対策を初めから意識しておくことは重要です。床には冷たさを感じやすいタイルよりも、クッションフロアや木フローリングを使ったり、断熱性能の高い素材を使ったりするようにしましょう。壁や天井に断熱材を入れてトイレはもちろん、家全体の断熱性能を高めておけば、室温が安定して温かく、ヒートショックも防げます。また、暖房便座や温水洗浄便座にすることや、足元ヒーターを導入することも寒さ対策の点で効果的です。

さらに、日が入る場所であれば、窓を設けてトイレ内が自然光で温かくなるようにすることもできます。ただし、窓を設けることで冷気も入りやすくなったり、西日が入る場所では熱くなりすぎたりする場合もあるので、窓のサイズや気密性、断熱性、日当たりなども意識して窓を設けるかを考えましょう。

3. まとめ

玄関近くにトイレを配置することには、メリットもあればデメリットもあります。外出時や帰宅後すぐにトイレに行ける点や来客者を家の奥まで通さずにトイレを貸せる点、居室への音漏れや臭い漏れを防ぐという点では玄関近くにトイレを配置するメリットがあります。しかし、玄関先で対応する来客者が多い家では、気を使いながらトイレを使用しなければいけないというデメリットがあります。居室に比べ寒くなりやすいことや、トイレまでの距離が遠くなりやすいという傾向もあります。メリットを生かしつつデメリットを軽減するためには、音漏れや臭い漏れ、寒さを軽減するために開き戸を採用したり、消臭効果や寒さ対策が期待できる素材や設備を使ったりすること、断熱性能を高め、日当たりを意識することが重要です。

玄関近くにトイレを配置することでメリットが多くなり快適になるのか、デメリットが多いのか、自分の暮らしに合わせて考えてみましょう。