
デッドスペースを出来るだけなくし、空間を有効活用することで居室を広く使えたり、開放的な家にしたり、導線を短くしたりするために、廊下を作らない間取りを検討する方は少なくありません。また、ライフスタイルや家族構成の変化に伴って、部屋数を減らし廊下の無いオープンなワンルームにするケースも増えています。しかし一方で、廊下を無くした間取りにしたことで後悔している方もいらっしゃいます。
空間を有効活用するため、また暮らしに合わせた使いやすい間取りにするために廊下を無くしたはずなのに、後悔を招いてしまった原因はどこにあるのでしょうか?廊下の無い家にリフォームした経験者のよくある後悔ポイントと、その対策をご紹介したいと思います。
1. 廊下の無い間取りの後悔ポイント
廊下の無い間取りにはどんなデメリットが潜んでいるのでしょうか?廊下の無い間取りにリフォームした方が経験している、よくある後悔ポイントをご紹介したいと思います。
■後悔1:音や臭い漏れでプライベート空間が守られない
廊下を無くすと、リビングなどを中心に各部屋に入ることになるため、家族がくつろいでいるそばを通らなければいけなくなり、ドアの開閉が気になったり、落ち着かない空間になったりしたと後悔している方は少なくありません。子供が友人を招いた際にリビングを通らなければ各個室に入れないというのは、思春期の子供にとってはデメリットになりかねません。
また、トイレや洗面脱衣所などの水回りも居室と隣合わせになるので、使用中の音漏れや臭い漏れが気になったり、来客中に使いづらかったりしてプライベート空間が快適ではなくなったと感じている方もいらっしゃいます。さらに、リビングのテレビの音や家族の会話、入浴中の音、洗濯機の音などが子供部屋や寝室、ワークスペースなどに聞こえて、睡眠や勉強、仕事の妨げになってしまうケースもあります。
玄関からの廊下がなければ、来客者から生活空間が丸見えになってしまうため、常に片付けを意識しなければいけないというデメリットもあります。
■後悔2:光熱費が高くなった
間仕切り壁が減って、廊下分広くなった空間の室温を快適に保たなければいけなくなったため、冷暖房費が高くなったと後悔している方もいらっしゃいます。断熱性能が低い家は特に、廊下を無くしたことで、玄関や窓からの外気の影響も受けやすくなり、夏は熱気や湿気、冬は冷気が入りやすくなったために、さらに冷暖房機器の使用時間が長くなってしまったというお宅もあります。
また、廊下を通らない時はこまめに切ることができた電気も、居室になると人がいる時間が長くなって常に点けていなければいけなくなり、電気代もかかってしまいます。
■後悔3:家具を置く場所・有効スペースが減った
リビングを中心に各部屋に出入りするようにすると、リビング内にドアが多くなり家具を置く場所が減ってしまいます。廊下を無くした分、リビングのスペースは広くなったものの、家具のレイアウトが固定されたり、通路幅を確保しなければいけなかったりして、くつろげるスペースはリフォーム前と変わらない、むしろ狭くなったという失敗例もあります。家具が置けなくなったために収納スペースも減ってしまったお宅もあります。
廊下の場合は、基本的に通路としての役割だけなので、各部屋に出入りするためのドアがいくつかあっても問題ありませんが、リビングなどの居室にドアが多いと、実際に活用できるスペースは狭くなってしまう可能性があるので注意が必要です。
2. 廊下が無くても後悔しない家にするには?
廊下の無い間取りにしたことで後悔する方もいらっしゃいますが、しっかりと対策が練られていれば後悔するどころか、快適に暮らせる間取りにすることが出来ます。どんな点を意識すれば良いのか、ご説明したいと思います。
■断熱性能を高める!
廊下を無くすと外気の影響を受けやすくなることを考えると、室温を快適な温度に保ち、冷暖房効率を良くするために、断熱性能の高い家にすることが重要です。
壁や天井に断熱材を入れたり、玄関ドアや窓を断熱性能の高い素材に変えたりして、間取りだけではなく断熱性能も意識してリフォームを行いましょう。
また、気密性を高めることだけではなく、自然の力を活用することも重要です。自然風が通り抜ける風通しの良い家にするなら、湿気や臭いがこもってしまうことを防げます。部屋の位置だけではなく、窓とドアの位置を考えて通気性の良い家にすることによっても、冷房費を抑えることが出来ます。
■家具レイアウト計画をしっかりする!
リフォームを終えた後に家具をどこにレイアウトするかを決めると、置き場がないことに気付き後悔してしまうかもしれません。そのため、間取りを決める際には、家具のレイアウトもセットで考えるようにしましょう。リフォーム後も使いたい家具、購入して新たに置きたい家具を全て選定したうえで、図面の中にレイアウトしてみましょう。
家具のレイアウトを計画段階で行っておけば、ドアの開閉の向きや開き戸ではなく引き戸にすればレイアウトの自由度が高くなることに気付けるかもしれません。また、テレビや洗濯機など音が出る家電の位置とベッドやデスクの位置を出来るだけ離れた場所にレイアウト出来るように意識して各部屋の位置を決めることも出来ます。
さらに、家具レイアウトを含めた生活導線や家事導線が分かれば、どこにどれだけの明るさの照明が必要なのか、適切な照明計画も行えますし、どの位置にエアコンを設置すると効率的かも分かり、光熱費の削減にもつながります。
3. まとめ
開放的で導線を短くすることが出来る廊下の無い間取りは、デメリットもあります。廊下を無くした間取りにリフォームしたことで、音や臭い漏れが気になり、プライベート空間が守られないと感じたり、外気の影響を受けやすくなったために冷暖房費が高くなったり、部屋が広くなった分、電気代が高くなったり、家具の置き場が限られて実際に使える空間が減ったと後悔している方もいらっしゃいます。廊下を無くす間取りにする場合は、断熱性能を高めて、室温を快適に保てるようにすることや、間取りの計画段階で家具のレイアウトを決めて、照明やエアコンの位置も決めておくことでメリットを最大限に生かせるようにしましょう。
廊下の無い家にして後悔するかどうかは、しっかり計画するかに大きく影響します。しっかり検討して後悔のない間取りにしましょう。