
子育て世代にとって、家事がしやすいか、子育てがしやすいかどうかは、家の間取りが大きく左右します。しかも、子育てしやすい家は、子どもたちをのびのび育てたり、家族の会話がしやすかったりと、親にとっても子どもにとっても過ごしやすい家になるので、意識して家づくりを行うことは重要です。
そこで今回は、子育てしやすい家に見られる共通点から家づくりで意識しておきたいポイントについて、また子育てとリフォームの先輩達が実際に役立ったと感じている間取りを、厳選して3つご紹介いたします。
1. 子育てしやすい家の共通点
子育てしやすい家にするためには、どんな点を意識して間取りを考えると良いのでしょうか?子育てしやすい家の共通点とも言えるポイントをご紹介したいと思います。
■汚れるのは当然!汚れた後が考えられた家
子育てしやすい家になっているお宅の多くは、汚れて当然でも、片付けやすく掃除のしやすい家になっているという共通点があります。
子供たちが幼いうちは特に、注意していても食事をこぼしたり、トイレを失敗したり、家の中が散らかることや汚れることは当然起こりえることです。そのため、散らからない家、片付く家を考えるのは現実的ではありません。むしろ、散らかりにくい、片付けやすい家を意識しましょう。
例えば、子供たちが過ごす時間が長いリビングやトイレ、帰宅後に玄関から洗面脱衣所が近いと汚れた服を運びやすくなります。また、ボウルが大きく衣類を洗いやすい実験用シンクや、バケツが入る深さの病院用シンクがあると掃除がしやすくて助かります。洗面化粧台とは別に設置できると、すぐに手洗いが出来なくても浸け置きおきしておくことが出来て便利です。
間取りや導線、設備機器を考える際には、汚れた後、散らかった後にどう動けばスムーズなのか、どんな設備だと便利なのかを考えることがポイントです。
■安全な家なら将来まで安心・快適に!
家を家族にとって安心して過ごせる場所にしたいという思いから、安全面を意識することも大事です。安全面が考慮された家であれば、必要以上に注意をして、子どもたちを見守り過ぎて疲れることも軽減できます。子ども達も、のびのびと過ごすことができます。
例えば、玄関ポーチの段差を出来るだけ少なくして手すりを設けたりスロープを設けたりすれば、転倒の危険を防げます。充分な広さを確保しておけば、ベビーカーのまま玄関まで近づけたり、子どもと手をつないだまま並んで出入りも出来たりして安心です。子育てが終わり年をとってからも、手すりがあると便利で、介護の面からも安全で快適に過ごせます。
また、安全性のためにコンセントの高さも意識できます。手元で使うものは出来るだけ高い位置につけることで、子ども達の手が届かず安全なうえに、大人にとってもかがんで使わずに済むので便利です。コンセントの高さは指定しなければ一律で設置されるので、高さにこだわって、使いやすい高さ、子どもが触れない高さを意識して設置しましょう。
2. 子育てしやすい間取り3選
ここからは具体的に、子育て経験者が子育てしやすかった、やって良かったと思ったおススメの間取りを3つ、ご紹介したいと思います。
■子どもがよく見えるLDK+対面キッチン
子どもが幼い時は、動きから目が離せないものの家事もこなさなければいけません。その点で、孤立したリビングダイニングやキッチンにするのではなく、LDKのワンルームにすることで、子どもの様子がよく見えます。さらにキッチンを壁付けではなく対面キッチンにすれば、料理をしながらでも振り返ることなく、子どもを確認しやすくなります。子どもも親を感じられるので安心です。子どもが大きくなってからも、会話がしやすい間取りとして人気です。
また、壁付キッチンは幼い子どもが近づきやすく柵を設けるにもグルリと囲む必要がありますが、対面キッチンであれば、キッチンの通路横だけに柵を設ければ、入れないようにすることが出来て空間分けしやすいというメリットもあります。
■帰宅後の流れがスムーズな回遊導線
帰宅後に片付けて、ゆっくり休んだり家事を始めたりするまでの流れがスムーズだと、家事効率が良く時短になって便利です。その点で、玄関からシューズクローク、洗面脱衣所、キッチンまでの動線が短く、行き来がしやすい回遊動線になっている間取りは人気です。
各部屋が繋がっていると、外から帰ってきて、シューズクロークで靴やアウター、ベビーカーを親が片付けている間も、子どもが勝手に家の奥に進むことなく、隣の洗面所で手を洗い始めることが出来ます。買物してきたものも、すぐにキッチンに置くことも出来るので、何度も持ち運ぶ必要がありません。
リビングまでの間に、シューズクロークや洗面脱衣所があれば、外からの汚れを家の奥に持ち込みにくく、リビングに入るころには、全ての片付けが終わっていて家事効率の良い間取りと言えます。
帰宅後の動きがスムーズだと、子ども達にとっても覚えやすいので、自分で片付けたり手を洗ったりする、帰宅後のルーティンが整いやすく、幼いうちから自分で行えるようになるというメリットもあります。
■片付け上手になる適切な位置の収納
子どもがいると、大人以上に1人あたりの物が増えますし、大人の持ち物は内容が変わることは基本的にありませんが、子どもは成長に伴って内容や必要なスペースも変わってきます。また、子どもたちに季節のイベントを楽しんでほしいというお宅では、イベント用の道具が片付けられる場所も必要となります。
そのため、収納スペースを充分確保することが重要です。しかしだからといってスペースばかりとっても、何がどこにあるか分かり辛く、物が溢れる一方かもしれません。子育てしやすい間取りにするうえで役立つのは、適切な位置に適切な収納スペースがあることです。
例えば、子どもが幼いうちはリビングで過ごすことが多いので、リビングに収納スペースがあると、オムツのストックを置いたり、おもちゃを片付けやすかったりします。玄関にはシューズクロークがあれば、ベビーカーを置いたり、上着をかけたり、外用のおもちゃを置いたりできて便利です。
大人にとって片付けやすい位置だけではなく、子どもが自分で片付けられるような高さや位置にスペースを設けることを意識したお宅は、子どもたちが自分で片付けることを学びやすく自立心が成長しやすかったと感じておられます。
3. まとめ
間取りや取り入れる設備機器によって、子育てのしやすさが変わってきます。子育て世代やリフォーム経験者が子育てしやすいと感じている家は、散らかりにくく、片付けやすい家を意識しており、汚れた後の動きがスムーズになるようにリビングと洗面脱衣所が近かったり、病院用シンクを設置したりしています。また、安全性も考慮されているので、子育て中だけではなく、将来にわたって快適な家となっています。さらに、子育てしやすい間取りとして、子どもの様子がよく見える、LDK+対面キッチンがある間取りや、帰宅後の動きがスムーズになる玄関からキッチンまでの回遊導線がある家、適切な位置に適切な広さの収納を設けた間取りが人気です。
子育てしやすい間取りや設備機器を取り入れて、快適で安全な家で子どもたちをのびのびと育てましょう。