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新築時に和室を設けなかった、洋風な家や欧米スタイルの家でも、リフォームやリノベーションのタイミングで、小上がり和室を設ける、という方が増えています。その一方で、今の家に和室を取り入れるのであれば、小上がりの方が良さそうと、漠然と思いつつも、小上がり和室って本当にいいのだろうか?と考えているという方もいらっしゃいます。

小上がり和室を設けることには、どんなメリットがあるのでしょうか?また、ただの和室ではなく、床の高さを変えた小上がりにすることには何かメリットがあるのでしょうか?さらに、洋風の家でもテイストを壊すことなく作ることは出来るのでしょうか?ご説明したいと思います。

1.小上がり和室のメリット&デメリットとは?

戸建て、マンション問わず取り入れる方が増えている小上がり和室ですが、なぜ人気なのでしょうか?デメリットはないのでしょうか?ここでは、小上がり和室のメリットとデメリットを考えながら、リフォームやリノベーションで取り入れる際のポイントもご紹介したいと思います。

小上がり和室のメリット

・空間に動きが出てアクセントになる

小上がり和室やステップフロアなど、床の高さが変わることで空間に動きが出るので、メリハリが出来たりアクセントになったり、デザイン性の高い家になります。休憩モードや仕事モードなど気分を変えるという点でも、目線が変わったり、昇り降りしたりする小上がりを活用するのは、効果的です。

・下部を収納として使える

小上がりの下部を収納として使えるので、増築することなく、収納スペースを増やすことが出来ます。LDK内に設けた小上がりであれば、季節ごとの物などを収納できるうえに、すぐに取り出せる位置にあるので便利です。

・イスに座った人と同じ目線で会話できる

一般的な和室であれば、座卓にするとイスに座った人より目線が下になってしまいます。しかし、小上がりでの座卓は、目線がイスに座っている人と同じ高さになるので、ダイニングやキッチンにいる家族と、同じ目線で会話を楽しむことができ、洋風の家にピッタリな和室と言えます。

・段差をイスやベッドとして活用できる

小上がりのフチに腰掛けてイス代わりに活用することも出来ます。畳や布団で寝たいけど、起き上がるのが辛いという方でも、小上がりを利用して足を下すことで、ベッドのような使い方が出来ます。

・手軽に掘りごたつが作れる

和室でも、座卓ではなくイスのスタイルが良いという方は、掘りごたつがおススメです。しかし、既存の床で掘りごたつを作るには、床下のスペースが空いている必要があり、配管や配線によっては、希望のところに掘りごたつを設けることが出来ないかもしれません。その点、小上がりを新たに設ける場合は、既存の床の上に作るので、手軽に掘りごたつを設けることが可能です。1畳や半畳ごとに可動できるようにしておけば、机のサイズや人数に合わせて掘りの部分を広くとることも出来て便利です。

・寝転がっても目線が気にならない

イスでの生活やスリッパでの生活の場合、床に寝転がると、目線が足元と同じ高さになって落ち着かない、床の汚れが気になる、ということもあります。しかし、小上がりになっているため、足元よりも目線が上なので、昼寝など、気軽に寝転がることの出来る空間になります。

小上がり和室のデメリットと対策

・バリアフリーにならない

段差が出来てしまうので、完全なバリアフリーにすることは出来ません。しかし、だからといって10㎝ほどの低い段差にしてしまうと、つまずく可能性が高くなり危険なので、20cm以上がおススメです。むしろ、段差をイスやベッド代わり活用して立ち座りをラクにすることを考えるのであれば、あえて35㎝ほどの高めの小上がりにする方が使い勝手が良くなる場合もあります。

・お掃除ロボットが入れない

小上がりで段差が出来てしまうと、お掃除ロボットが入れないというデメリットもあります。小上がり和室が広いと掃除の範囲も広がってしまうので、お掃除ロボットでの掃除が基本のお宅では、小上がり和室を2・3畳ほどの小スペースにすることも出来るかもしれません。

部屋が狭く感じる可能性もある

床がフラットではないことで、アクセントになる一方、空間を分ける効果もあるので、配置する場所によっては、部屋が狭く感じてしまう可能性もあります。特にLDK内に設ける場合は、小上がり和室によって導線や窓が遮られてしまうと、狭く、開放感の欠けた空間になってしまうので注意が必要です。間仕切り扉を設けるかどうかも、圧迫感の有無などを考えたうえで設置しましょう。

・収納のタイプによっては小上がりの前に家具が置けない

小上がりの下部を収納にする場合、引き出し収納にしてしまうと、引き出すスペースが必要になるので、家具を前に置けなくなってしまいます。空間に余裕がある場合は問題ありませんが、余裕が無いのであれば、上から出し入れできるタイプにしておきましょう。

しかし、上からのタイプは物を取り出す際に、机や座布団を動かさなければいけないというデメリットがあります。間取りや小上がりの使い方に応じて、収納のタイプを考えるようにしましょう。

2.洋風の家にも似合う小上がり和室にするには?

洋風の家、欧米スタイルを貫きたいため、和室を設けなかったという方でも、小上がり和室はあると便利かも、とリノベーションを考えておられるかもしれません。洋風の雰囲気を壊すことなく、小上がり和室を設けることは出来るのでしょうか?ポイントをご紹介したいと思います。

モダンな畳で小上がり和室をコーディネート

最近は畳の種類や色のバリエーションが豊富なので、欧米スタイルにマッチする畳を選んでコーディネートすることが可能です。

例えば、和室感や畳を強調させてしまう縁のある畳ではなく、縁なしの琉球畳にすることで、シンプルな空間になります。また、紺やグレー、黒など、カラー畳で畳の色と家具やファブリックを同色にしてコーディネートすれば、和室でも統一感のある空間にすることが可能です。

和室=畳でなくても良い!

和室だから、畳を敷くのが当たり前と考えていませんか?小上がりにして座卓にする場合でも、畳や障子、和紙など、和を連想させる内装材を使わないことで、和の雰囲気を取っ払うことが出来ます。

例えば、畳の代わりにコルクや絨毯を敷けば、クッション性があるので、直接座ったり寝転がったりすることが出来ます。無垢フローリングに、ラグやクッションを使うこともおススメです。

間仕切りを設ける場合も、木枠の障子ではなく、アルミ枠と組み合わせたり、洋風のドアを使ったりすることで和室感がなくなります。壁は、他の部屋と繋げてクロスを張ったり、塗り壁の場合も、左官仕上げで洋風に仕上げにしたりすることが出来ます。和室にすることではなく、小上がりにすることや、座卓にすることだけを意識することで、欧米スタイルの家でも、違和感なくコーディネート出来ます。

3. まとめ

小上がり和室を設けることで、デザイン性を高めたり、収納スペースを増やしたりすることが出来ます。イスの生活とも目線の高さが合うため、洋風スタイルの家に合った和室になります。その一方で、段差によってバリアフリーにならなかったり、掃除がし辛くなったり、狭く感じたりするデメリットが生じる可能性もあるので注意が必要です。洋風の家に設ける場合は、畳の種類や色でコーディネートを合わせることや、和を連想させる内装材を使わずに小上がりを作ることによって、欧米スタイルの家にも馴染む空間を作ることを意識しましょう。

メリット、デメリットを考え、建材をじっくり選んでコーディネートすることで、和室や小上がりのメリットを取り入れた洋風な家にリノベーションすることが可能です。