家を建てる時や、リフォーム、リノベーションを行う時には、片付けやすく家事が行いやすいように、収納を出来るだけ設ける、ということを意識しておられる方は少なくありません。シューズクロークやパントリーなど、各部屋や用途に合わせた収納が注目される中で、作って良かったという声が多いのがリビング収納です。しかし、ライフスタイルに合っていなければ、良かったと言える収納や間取りにはなりません。リビング収納は本当に便利なのでしょうか?

リビングを含め、LDKのようなダイニングとキッチンがワンルームになっている、家族が集う共有の空間に、リビング収納を設けるメリットとデメリット、さらに使いやすいリビング収納を設けるうえでのポイントをご紹介したいと思います。

1.リビング収納を設けるメリット&デメリット

あえてリビング内に収納を設けることには、どんな利点があるのでしょうか?デメリットとなってしまう部分とともにご説明したいと思います。

リビング収納を設けるメリット

  • リビングが散らかりにくくなる

家族が集まるリビングは、文具や衛生用品、家や子どもの書類など、共有で使ったり管理したりするものが多く集まってしまいます。そのため、リビングに収納が無ければ、それらがリビングやダイニングテーブルに常に出ている状態になってしまったり、収納するための家具やボックスなどが増えたりして、リビングにモノが溢れてしまいます。リビング収納があれば、片付ける場所があるので、散らかりにくくなります。

  • ワークスペース・家事スペース・客間としてリビングを兼用できる

ワークスペースや家事室が無くても、リビング収納さえあれば、必要な荷物を片づけることが出来るので、仕事や家事をリビングで行うことが出来て便利と感じている方は少なくありません。

また、最近は客間のない家が多いので、専ら来客はリビングに招くという方は少なくありません。急な来客があっても、リビングに扉やカーテン付きの隠す収納スペースがあれば、LDKで何か作業をしていても、わざわざ他の部屋に持って行くことなく、とりあえずリビング収納に避難させることが出来ます。

  • 家族で協力して家事がしやすい

家族が共有で使うリビングにある収納なので、誰でも使いやすく見やすい収納になります。調理家電や調理道具、掃除道具、ストック用品など、家事に必要なものを収納しておけば、家族が場所を把握しているので、子ども達に家事を手伝ってもらったり、夫婦で協力して家事をしたりするのに便利です。

子どもの勉強道具やおもちゃを収納する場所を設ければ、料理など家事をしながらでも、子ども達が出し入れする様子を見守ることが出来て安心、というメリットもあります。

  • 災害時・緊急時の備えができる

災害時に家以外の安全な場所に避難する必要がある場合は、緊急持ち出し袋などをシューズクロークに置いておくことが便利です。しかし、耐震性のある丈夫な家や、台風や感染症対策で、在宅避難が必要な場合は、リビングに防災グッズを置いておくと安心して暮らすことが出来ます。家族が多ければ多いほど、必要な食品や衛生用品の量も増えるので、常にリビングに出していると邪魔になりますが、リビング収納があれば、目立たず片づけておくことが出来るうえに、すぐに取り出しやすく便利です。

リビング収納を設けるデメリット

  • リビングが狭くなる

リフォームやリノベーションで限られたスペースに収納を設けると、リビングの面積が圧迫されてしまいます。階段下や小上がりの畳の下、キッチンカウンターの下など、デッドスペースを活用できないか、ワークスペースと兼用できないかなど、空間を上手に使って、リビング本来のくつろげる空間が圧迫されないように工夫しましょう。

  • 家具を置けるスペースが限られる

リビング収納を設けると、モノを取り出す際のスペースが必要となるので、収納前には家具が置けなくなってしまいます。さらに収納に扉がある場合は、開閉分のスペースも確保しておかなければいけません。リビングには、ソファーやテーブル、テレビボードなど比較的大きめの家具が多いうえに、廊下や他の部屋と繋がるドアや、明るく開放的にするための、大きな窓があるリビングも多く、元々他の個室に比べて壁面が少なくなる傾向があります。収納を設けることで、さらに壁面が失われると、家具が置けなくなったり、模様替えが出来ない固定されたレイアウトになってしまったりする可能性もあるのでレイアウトに注意しましょう。

  • 物置化してモノが増えてしまう

寝室や子ども部屋の収納のように、個人で管理する収納ではないので、家族全員が管理や整理整頓を心掛けていなければ、リビング収納があるから大丈夫、という感覚で、自由にモノを置いたり新しいものを購入したりしてしまうかもしれません。いつの間にか、何が収納されているか分からない、同じモノがいくつも入っている、など使い辛くモノに溢れた収納になってしまう可能性があります。

その結果、普段使いのものはリビングやダイニングに出しっ放しになって収納を設けた意味がないということもあります。家族で共有して使う収納は、どこに何を片づけるか、どのように管理するかなど、ルールを共有して意識しながら使うことが大切です。

2.リビング収納で片付くリビングを作るポイント

リビング収納を設けるメリットとデメリットを比較したうえで、メリットになる要素が多いのであれば、リビング収納を設けることで、暮らしやすくなります。しかし、ただ収納を作るだけでは、メリットを最大限に活かすことが出来ないかもしれません。使いやすく片付くリビングにするために、どんな点を意識してリビング収納を設けると良いのか、ポイントをご紹介したいと思います。

用途に合わせて数やサイズを決める

リビング収納は、洋服を入れるクローゼットや靴を収納するシューズクロークなど、収納するものと用途が明確な収納と比較すると、同じリビング内で使うものでも、用途やカタチがバラバラなので収納内がごちゃごちゃしてしまいがちです。そのため、リビングに一か所大きな収納を設けるよりも、ある程度用途を分けて、使いやすい位置に小さめの収納を設ける方が便利だと感じている方は少なくありません。

例えば、子どものおもちゃやテレビゲームなどは、子ども達が取りやすく、大人は座って取れるようなテレビの下部に設けたり、仕事の書類や文具などはダイニングテーブルに座って使いやすいキッチンカウンター下に棚や引き出しを設けて収納したり、衛生用品や掃除道具などは、リビングからもダイニングからも取り出しやすい位置に棚は可動棚にして、高さがあるものも入りやすいサイズにしたりするなど、メインで使う人、使う場所を考えて、数か所に分けて収納を設ける方が、暮らし方に合った収納を作ることが出来ます。

3. まとめ

リフォームやリノベーションで収納を設けるうえで、リビング内に収納スペースを設けたことで便利になったと感じている方が多くいらっしゃいます。リビング収納があれば、リビングを片付いた状態に保てるだけではなく、ワークスペースや家事スペース、客間としても使いやすくなったり、共有で使う収納なので、家族が家事を協力して行いやすくなったり、災害時や緊急時の備えが出来たりして便利です。しかし、一方でリビングの面積が狭くなったり、家具のレイアウトの自由度が下がったり、管理のルールを共有していなければ、収納内がモノで溢れて使えなくなったりするデメリットもあるので注意が必要です。幅広い用途で使われるモノが集まるリビングなので、便利な位置に収納できるように位置やサイズ、収納方法を考えてリビング内に収納を設けるようにしましょう。

自分や家族にとって暮らしやすく、片付く、リビング収納を考えてみましょう。