壁紙選びはデザインだけではない!種類も考えて選ぶメリットとは

壁のリフォームを行う際、壁紙(クロス)の、色やデザインに悩む方は少なくありません。アクセントクロスをつけた方が良いか、部屋ごとにコーディネートを変えた方が良いか、など細かく考えるかもしれませんが、その前に、壁紙の種類を選択したでしょうか?意外とデザインや色を意識しすぎて、素材を見落としていたことで、耐久性が低かったり、お手入れが大変だったり、リフォームには不向きだったりとトラブルの原因になっていることがあります。

そこで今回は、デザインだけではなく、考えるべき壁紙の種類についてご紹介したいと思います。

1.壁紙には素材の種類がある!

一般的にクロスのことを壁「紙」とは言いますが、素材は紙だけではなく、いくつかあり、特徴も異なります。クロスにはどんな種類があり、どんな特徴をもっているのか、大きく分けて4つのクロスをご紹介したいと思います。

■ビニールクロス

現在日本の住宅で最も使用されているのが、塩化ビニール樹脂を主原料とする『ビニールクロス』です。デザインやカラーが豊富で、DIY用のクロスとしても量販されています。価格が安いうえに、水に強く耐久性が高いというメリットがあります。

しかし、ビニールクロスの接着剤にアレルギー物質となるホルムアルデヒドが含まれていることから、シックハウス症候群やアレルギー対策をしたい方は、注意が必要です。

■紙クロス

欧米で採用されることが多い『紙クロス』はパルブなどを原料としています。輸入住宅などでも使われ、柔らかさや、デザイン性の高いゴージャスなものが多くあります。和紙を使って和空間をコーディネートしたり、輸入洋紙を使って欧米スタイルにコーディネートしたり、紙の素材やデザインで各国らしさを演出できるという、紙ならではの特徴も楽しめます。

紙という性質上、擦れや水に弱く、膨張や収縮が起こる可能性があり、経年劣化で剥がれやすかったり、目地が目立ってきたりする場合があります。紙クロスの中でも、撥水性があるものと無いものがあり、撥水性が無いと、汚れや軽い水拭きがシミになって残ってしまう可能性があります。

自然素材のクロスとして紙クロスを選ぶ方もいらっしゃいますが、中にはビニール素材が含まれているものもあるので注意が必要です。

■織物(布)クロス

木綿や麻といった自然素材や、ポリエステルやレーヨンといった化学繊維の織物や編み物で構成された『織物クロス(布クロス)』は、絡み合わせてつくられているため、丈夫で破れにくいという特徴があります。織物による凹凸が重厚感を演出してくれ、織りパターンや素材そのものの美しさを楽しむことが出来ます。

織物クロスは、埃が吸着しやすいというデメリットがあります。また、ビニールクロスと比較して普及率が低いうえ、伸縮するため施工が難しいこともあり、熟練した職人が必要で取り扱業者が少ないというデメリットがあります。そのため、DIYには向いていない素材です。また、布の性質上、汚れが落ちにくいので、織物クロスを選択する場合は、防汚加工や撥水加工といった機能付きを選ぶのがおススメです。

■無機質系クロス

珪藻土や漆喰、ガラス繊維などの自然素材が使われた壁紙を『無機質系クロス』と言います。不燃性の素材なので耐火性が高く、塗装で仕上げたような凹凸があって素材を感じられるクロスです。

塗り壁は、塗りパターンやデザインが左官屋さんの技術に左右されますが、加工品であるクロスは、塗装風でも安定したデザインと品質があり、施工後どうなるかの不安がありません。

しかし、無機質系クロスは耐火性が高い一方で、水拭きをするとシミが出来やすい素材が多いため、汚れやすい空間には不向きです。

2.リフォームで壁紙を選ぶ時のポイント

壁紙には種類があるので、壁リフォームの際には、デザインや色を選ぶ前にどの素材のクロスにするかを選ぶ必要があります。上記で取り上げた種類の中から満足のいくクロスを選ぶためのポイントをご紹介したいと思います。

■部屋の用途・お手入れ方法を考えて選ぼう!

壁紙の素材によって特徴が違うということは、その特徴を活かして、部屋の用途に合った壁紙を選ぶことで、耐久性が高くなったり、お掃除がしやすくなったりします。

例えば、洗面脱衣所のような水気や湿気が高い空間では、水に強いビニールクロスが、耐久性が高く、サッとシミにならずに拭くこともできてお手入れも簡単です。拭き取りやすいというメリットから、油汚れが予想されるキッチン周りの壁にも向いています。

また、同じビニールクロスの中でも、防カビ・抗菌機能が付いているものや消臭効果が高いものもあります。ウォークインクローゼットの壁紙として機能付きの壁紙を選ぶことで、湿気によるカビや臭いを防ぐことができ、洋服を良い状態で収納することが出来ます。

部屋ごとに、汚れやすいか、どんな汚れが付着する可能性があるか、お手入れの方法などを考えて、壁紙を選ぶようにしましょう。

■無機質系クロスを選ぶなら塗り壁との比較をしよう!

珪藻土や漆喰が織り込まれた無機質系クロスを選ぶのであれば、目的をしっかり考えるようにしましょう。目的が自然素材のもつ調湿・消臭効果を期待したり、風合いを期待したりするのであれば、本物の塗り壁の方が、メリットが高い場合があります。

例えば、無機質系クロスはビニールクロスと比較すると、自然素材がもつ調湿効果や消臭効果を期待は出来ますが、本物の珪藻土や漆喰に比べると、入っている量が少ないため、効果を期待出来ません。

また、無機質系クロスは薄いため、下地の凹凸やクロスの継ぎ目が目立ちやすい傾向があります。その点塗り壁はパターンをつけて塗ることが出来るため下地の状態が目立ちにくいというメリットがあり、リフォーム向きなうえに、見栄えの点では断然重厚感が出ます。

クロスの中でも自然素材を使いたいという場合や、珪藻土風の見た目で価格を抑えたいという場合であれば、無機質系クロスを選択することにメリットがありますが、機能や見栄えを重視するのであれば、本物の塗り壁が良いかもしれません。メリット・デメリット、価格などを比較してクロス以外の素材も検討しましょう。

3. まとめ

壁紙の中には、耐水性が高く、価格が安いうえにデザインが豊富なビニールクロス、洋紙や和紙など各国らしさを質感やデザインで感じられる紙クロス、重厚感や高級感がある織物クロスや塗り壁風で自然素材が多い無機質系クロスなど、様々な素材があります。壁紙を選ぶ際には、デザインや色だけに注目するのではなく、素材も考えて選ぶようにしましょう。各素材には、メリットもあればデメリットもあるので、部屋の用途や汚れ具合、掃除の方法も踏まえたうえで空間に合った素材の壁紙を選ぶようにしましょう。また、素材にこだわる場合は、壁紙以外の建材を選んだ方が、メリットが高くなる場合もあるので、価格を含めて、選択肢をよく検討することが大事です。

デザインだけではない、素材も意識した壁紙・壁材選びを行うことで、満足度の高い内装リフォームを行いましょう。