窓を減らすことのメリットとは?減らすときに考慮すべきポイント

最近の住宅は築古の家と比べると、窓の数が減り、比較的小さな窓や、開閉できないFIX窓がついている家が多くなっています。
リフォームでも、既存の窓を無くして減らすことを検討している方が増えています。しかし、内窓を設けたり、ガラスを交換したりする窓リフォームは比較的気軽に行えますが、窓の数を変えるリフォームは大規模な工事が必要となり、見た目やコストなど様々な点に影響します。
そのため、窓を減らすことに伴うメリットとデメリットをしっかり把握したうえで行わなければ、後悔の残るリフォームになりかねません。

そこで今回は、窓を無くすことのメリットとデメリットや、減らすときに考慮すべきポイントをご紹介したいと思います。

1. 築古の家は窓が多い!?窓を減らすリフォームは必要?

理想の暮らしを手に入れるうえで、窓を無くすことを検討する方に多い理由や、メリットとデメリットとなる部分を確認してみましょう。

■窓を減らすことのメリット

●寒さを防ぎ断熱性がアップする:浴室やトイレなどの水回りは特に、外気の影響を受けやすい窓があることで寒さを感じているお宅は少なくありません。築古の家の多くは、窓が多いうえに、断熱性が低いことで寒さが増しています。そのため、窓を無くすことで寒さを防ぎ、断熱性を上げることが出来ます。

●防犯性がアップする:空き巣の侵入経路として最も多いのは窓なので、窓を減らすことで侵入される確率を下げることが出来ます。また、道路に面した窓など外部からの視線が気になる窓を無くすことで、プライバシーが守られ防犯性がアップします。

●日焼けを防ぐ:窓が多く日当たりが良すぎる家では、家の中に居ても日焼けしたり、紫外線で目が疲れたり、家具やフローリングが日焼けで色褪せが早くなったりします。特に西日が入る窓は、夏に室内が熱くなりすぎたり、エアコンが効きにくくなったりして窓を無くしたいというお宅も少なくありません。

●モダンな家になる:窓のデザインやサイズは家の外観やインテリアなどの見え方に影響します。窓の数が少なく、スッキリとしたデザインのモダンテイストの家に仕上げるためには、窓を最小限にとどめ、縦長や横長のシャープなデザインの窓が似合います。

■窓を減らすことのデメリット

●風通しが悪くなる:通風を確認したうえで窓を無くさなければ、風通しが悪くなったり、換気が出来なくなったりする可能性があります。通風や換気が確保できなければ、室内の空気が循環できず、汚れた空気や臭いが滞ったり、湿度が溜まってカビが発生しやすくなったりします。

●自然光が入らなくなる:強い日差しは避けたいものの、極端に窓が少なすぎたり小さすぎたりして自然光が入らなくなると、室内が暗くなり常に電気が必要な暮らしになってしまいます。また、日光を浴びることは身体を活動的にさせたり、ストレスを感じにくくさせてくれたり、心身の健康に欠かせない役割を果たしてくれているので、生活リズムや健康に悪い影響が出てしまう可能性もあります。

●リフォームコストが高い:窓を無くすだけといっても、窓リフォームは家の室内外多くの場所に関係しているため、工事が大規模になります。特に既存の窓を塞ぐのではなく、無くすのであれば、窓があった部分に下地を作り室内外の両方に仕上げが必要となります。窓を無くした部分だけ新しいクロスやサイディングを張ると目立ってしまいます。窓を無くして綺麗に仕上げるのであれば、無くすタイミングで室内全体のクロスを張り替えたり、外壁を塗り替えたりする必要も出てきてしまい、さらにコストのかかるリフォームにつながるかもしれません。

2. 窓を無くすリフォームをするときの考慮ポイント

窓を無くすことのメリットとデメリットを確認したうえでさらに、窓リフォームで後悔しないために考慮すべきポイントをご紹介したいと思います。

■必要な採光はとれている?

住宅では採光基準というものがあり、健康を守ったり、災害時の避難を確保したりするために、日当たりの基準が法律で決まっています。建築基準法28条により、居室の床面積の7分の1以上を、窓や開口部などの有効採光面積とする必要があります。そのため、日差しが強すぎるため窓を無くしたい、窓の必要性を感じていない、という理由で窓を無くすことを検討している場合でも、住む人の感覚だけではなく、居室の採光基準を満たしているかを確認する必要があります。

ただし、採光基準はLDKや寝室、子供部屋などの居室のみが該当するので、浴室やトイレ、クローゼットなどの採光にはあてはまりません。また、採光は自然採光以外にも照明設備を活用することで、有効採光面積の割合を10分の1でクリアすることができます。窓を無くすことで十分な採光を確保できない場合は、照明計画を含めたリフォームを行いましょう。

■無くすのではなく小さくする方法も検討する!

窓を無くすことによるデメリットを考えたり、リフォームコストを抑えることを考えたりするのであれば、窓を無くすのではなく、サイズを変えることを検討することもできるかもしれません。

サイズを小さくすることでも、外気の影響を最小限に抑え寒さを防ぐことや、人が入れないサイズにすることで防犯性を上げることができます。そのうえサイズが小さくなっても、窓があることで必要な通風や採光は確保できるかもしれません。しかも、サイズを変えるのであれば、既存の窓を撤去することなく、パネルをはめ込んで小さくするカバー工法というリフォーム方法もあるので、コストを抑えることも可能です。

3. まとめ

最近の住宅では、窓が小さいうえに少ないモダンなデザインが主流になってきています。築古の窓が多い家は、窓を減らすことで、断熱性をアップして寒さを防いだり、空き巣の侵入を防ぎ防犯性をアップしたり、西日などの強い日差しによる日焼けや暑さ、眩しさを防いだりできるというメリットがあります。一方で、窓を無くすことで十分な通風や換気、採光が確保できなくなり健康が脅かされる可能性もありますし、リフォームコストもかかります。窓を無くすときは、メリットとデメリットを検討することはもちろん、建築基準法で定められた採光基準を満たしているか、無くすのではなくサイズを小さくする方が良くないかなども確認するようにしましょう。

家の窓の数やサイズを変えるリフォームは、見た目や流行りだけに左右されることなく、我が家の暮らしやすさにつながるか、予算内でリフォームできるかなどをしっかりと考えたうえで決めるようにしましょう。