
最近の新築では、ベランダを無くしたスッキリとしたデザインの住宅が増えています。特に庭がある家では、ベランダの不要説が広がっています。リフォームやリノベーションでも、ベランダはいらない、無くした方が良い、というコメントも多く、撤去を考えている方も多いようです。しかし、性急に判断するのは危険です。中には、ベランダを無くしたことを後悔している方も少なくないからです。
ベランダを無くしても問題ないのでしょうか?実際にベランダを無くして、後悔した方の理由をご紹介いたします。また、ベランダがある家で快適にするためのポイントもご説明したいと思います。
1. ベランダを無くして後悔した理由は?
ベランダの無い家にした、リノベーションでベランダを無くした、という方が、無くしたことで後悔を招いてしまった理由をご紹介したいと思います。自分の家でも、当てはまる可能性はないか照らし合わせてみましょう。
■日よけ・雨除け・開放感が減少!
ベランダによって、階下の日よけや雨除けが出来ていたことに、ベランダを無くしたことで気付いたというお宅は少なくありません。
実際に、『パッシブデザイン』と呼ばれる住宅設計手法では、ベランダや庇によって日射をコントロールして、夏は涼しく、冬は暖かく過ごすことが出来るようにします。ベランダがあることで、冷暖房の効率アップを図ることも出来ます。そのため、ベランダを設置しないことで、強い日差しが室内に入り込むようになったり、雨が窓に当たる音がうるさくなったりします。外観を重視してベランダを無くしたものの、庇やオーニングを設置することになったお宅も少なくありません。
さらに、ベランダを無くすと、出入りしていた掃き出し窓は危険なので、腰窓変える必要があったり、開閉ができないFIX窓にする必要が出てきたりします。今までは窓を開けて風を通していたのに、半分の広さになって風が抜けにくくなったり、太陽光が入りづらくなったりして通風や開放感が軽減したと感じているお宅もあります。
■布団を干す場所が無くなった!
2階に寝室を設けているお宅は、布団を干すために階段を下りなければいけなくなったのが大変だと感じている方もいらっしゃいます。毎日布団を干すことはないという方でも、布団をもって階段の上り下りをするのは億劫に感じるかもしれません。
しかも、ベランダであれば布団を、手すりをまたぐように干すことが出来ますが、庭に干すためには、布団用の物干し竿が必要となり、新たに購入したり、置いておくためのスペースが必要となったりするかもしれません。
■エアコンの室外機置き場問題
ベランダを無くすことで、2階の部屋に設置したエアコンの室外機をどこに置くか検討する必要が出てきます。1階のエアコンと2階のエアコンをベランダで分散できていたのが、全て家の外周や庭に室外機が集結することになり、場所の確保が難しくなったり、見栄えがわるくなったりしたという後悔があります。庭までの通路を阻んで、通り抜けし辛くなったり、隣の家のリビングと室外機の掃き出し口が重なりやすくなってしまったりして、後悔している方もいらっしゃいます。
しかも、設置工事の際に、外の配管を2階から1階部分まで伸ばす必要があるので、延長料金や高所作業料金が別途発生するのが一般的です。
2. ベランダがあってもデメリットにならないためには?
上記で取り上げた理由から、ベランダがある方が便利だと感じるのであれば、撤去することよりも、ベランダのデメリットを軽減する方法を考える方が現実的かもしれません。どんな点を意識すると良いのか、ポイントをご紹介したいと思います。
■掃除がしやすい素材&メンテナンスを怠らない
ベランダがあるデメリットとして、頻繁に取り上げられるのが、掃除の大変さ、防水工事などのメンテナンス費用がかかることが言われています。現実問題として、直面している方は多いので、このデメリットもしっかり考えておく必要があります。しかし、この問題はベランダがあるからだけの問題ではなく、外壁だけの状態になっても必要なことです。
例えば、10~15年おきにベランダの防水工事が必要とされます。しかし、外壁塗装も10~15年おきに再塗装する必要があるので、同じタイミングで行えます。このタイミングを逃すと、雨漏りしやすくなったり、家の劣化が進んだりします。ベランダだけではなく、外壁の塗装やメンテナンスを怠れば同じ問題が発生しやすくなるということです。
外壁にもベランダにも言えることですが、家を長持ちさせるためには、こまめに掃除をすることや、メンテナンスを怠らないことが重要です。大規模で大変な掃除を減らすために、日々こまめに掃除をするということです。水洗いをして、付着した砂埃を洗い流すことで外観を綺麗な状態に保ちやすくなります。雨樋にホコリや枯れ葉が詰まると水が溢れ雨漏りの原因になってしまうように、ベランダの排水が詰まると雨漏りの原因を招くので、雨樋の掃除とセットで意識して行いましょう。また、外壁塗料の種類によって耐久性や耐用年数が違うように、ベランダの防水の種類によっても耐久性や耐用年数が異なるので、種類を考えることは掃除やメンテナンスの頻度を下げるうえで役立ちます。
■実用的な広さ・配置を考える
現在、ベランダはいらないと感じているお宅の中には、ベランダがいらないのではなく、使い勝手が悪い位置にあったり、十分な広さが確保されていなかったりすることに原因があるかもしれません。ベランダが使いやすい場所にあって、付加的価値があると、実用的な空間にすることが出来て、ベランダを無くすどころか、お気に入りの場所になるかもしれません。
例えば、洋服がギリギリ干せる広さで実用的ではなかったスペースを広くしたことで、布団が干せるようになったり、植物を育てられるようになったりして、使いやすくなるかもしれません。また、ベランダの奥行を広くして、庭のウッドデッキの屋根と兼用することで、1階の日よけになったり、アウトドアリビングの場所として活用出来たりするかもしれません。中には、あえて2階の部屋を減築してベランダにしたことで、各部屋の風通しや採光が良くなったお宅もあります。
さらに、ベランダの位置が誰かの個室を通らなければ行けない場所だったために使いづらかったというお宅は、階段ホール部分に移設させることで、誰でも使いやすくなったうえに階段が明るく風通しがよくなったというケースもあります。ベランダが隣の家と近く、目がきになって使いづらかったり、採光や通風がとれなかったりしたお宅も、位置が変わることで、同じ広さのベランダでも使いやすくなることは少なくありません。
ベランダをどれぐらいの広さで、どこに設けると使い勝手が良いかを考えることで、むしろベランダがあることで快適な家になるかもしれません。
3. まとめ
新築ではベランダの無いスタイリッシュな家が流行っており、リフォームやリノベーションでも、ベランダを撤去することを考えている方が増えています。しかし、撤去したことを後悔している方も少なくありません。ベランダを無くしたことで、室内の日よけや雨除け、開放感が減少したり、布団を干すために階段を上り下りしなければいけなくなって億劫になったり、エアコンの室外機が敷地に集結して庭や外周を圧迫したりするので、自分の家の場合は問題ないか、撤去前に検討しておきましょう。ベランダを無くさないとしても、外壁と同様にこまめに掃除をしてメンテナンスを怠らないことで、家全体を長持ちさせることに貢献できます。また、どこにどれぐらいの広さのベランダを設置すると便利か、さらに快適な暮らしを手に入れることが出来るかどうかを、考えることも重要です。
『ベランダはいらない!』かどうかは、立地状況やライフスタイルによって違うので、自分の家にはどう当てはまるのか、後悔している方、満足している方から学び参考にしましょう!