洗濯パンって必要なの?リフォームで注意すべき点とは?

脱衣所やランドリールームなど、洗濯機を設置する場所には、基本的に洗濯パンが置かれます。しかし、洗濯パン内にホコリが溜まりやすいうえに、掃除がし辛いため、洗濯パンが無い方が良いと感じている方は少なくありません。

洗濯機を設置する場所には、洗濯パンは必要なのでしょうか?そもそも洗濯パンとは何でどんな役割があるのか、リフォームの際には、洗濯パンに関係するどんな点に注意が必要なのか、ご紹介したいと思います。

1. 洗濯パンを設置しない選択肢ってアリ!?

洗濯パンは必要なのか、まずは洗濯パンの役割や種類を知ることが大切です。そのうえで、設置しない選択肢はアリなのか、ご説明したいと思います。

■洗濯パンとは?どんな種類があるの?

洗濯パン(もしくは防水パンと呼ばれる)は、床の排水口と繋がっているトレイ型で、洗濯機の下に設置することで、洗濯機から水漏れした時に、部屋や階下への漏水を防ぐ役割があります。また、強化プラスチックなどの樹脂素材でできているため、洗濯機の振動や音を軽減する効果もありますし、直接床に洗濯機を置かないことから、床が傷つくことを防ぐことも出来ます。

一般的な洗濯パンは大まかに分けて下記の3サイズあり、洗濯機のサイズに合わせて設置します。

●正方形:幅64cm×奥行64cm

●長方形:幅74cm×奥行64cm

●長方形:幅80cm×奥行64cm

規格タイプの洗濯パンでは、排水口は洗濯パンの端側についているため、両サイドのどちらかに排水口が取付けられているタイプの洗濯機であれば問題ありませんが、洗濯機の真下に排水口があるタイプは、本体かさ上げ振動吸収台と呼ばれる別部品を設置しなければいけません。洗濯パンと洗濯機のサイズが合っているかだけではなく、排水口の位置も確認することが必要です。

また、トレイ型のフラットタイプ以外にも、かさあげタイプやキャスタータイプがありますが、トレイになっていないため、水漏れには対応できません。

■洗濯パンって設置しなくてもいいの!?

洗濯パンの設置は一般的にはなっていますが、建築基準法などで定められているわけではないため、設置するかどうかは自由に選べます。

掃除のし辛さを感じている方や、見栄えにこだわる方の中には、設置しないことに決める方もいらっしゃいます。しかし、設置目的からも分かるように、万が一、洗濯機の故障や排水ホースの劣化などによって水漏れなどのトラブルが起きた時に、部屋中に水が広がったり、階下まで浸水してしまったりして大きなトラブルに繋がりかねません。特に集合住宅の場合は、トラブル防止のためにも、洗濯パンを設置していた方が安心です。

ただし、洗濯機を設置する部屋の床を土間やタイル張りにして、水を流しても問題のない仕様にしているお宅にとっては必要性を感じないかもしれません。

2. リフォームで注意すべき洗濯パンまわりのこと

洗濯パンを設置することが一般的になっているため、洗濯機を置く場所だけ決めさえすれば問題ないと思うかもしれませんが、洗濯パンのレイアウトやリフォームの方法によっては後悔の残るリフォームになってしまう可能性があります。洗濯パンに関係する部分のリフォームで注意すべき点をご説明したいと思います。

■洗濯パンのサイズを意識したレイアウトが重要!

上記で取り上げた通り、洗濯パンには種類があり、サイズが異なります。しかし、中には洗濯パンではなく洗濯機のサイズだけ意識して脱衣所やランドリールームのレイアウトを決めてしまうと、使い勝手が悪くなったというケースがあるので注意が必要です。

例えば、洗面化粧台の隣に、希望の洗濯機の幅だけを考えればピッタリ納まるものの、洗濯パンのサイズとなると入らず、洗濯パンも洗濯機も小さなものを設置することになり、ピッタリどころか中途半端に隙間が出来てしまうという失敗例があります。洗濯機が入る幅ではなく、洗濯パンのサイズを確認してレイアウトするようにしましょう。

また、家族が増えて大きな洗濯機に変えたいものの、洗濯パンが小さいうえに、大きな洗濯パンに交換できる広さが確保されていないということもあります。洗濯機のサイズが変わる可能性がある場合は、初めから大きなサイズの洗濯パンを設置したり、洗濯パンのサイズ変更が可能なようにスペースをとっておいたりするなど、変化に対応できるかどうかも確認しておきましょう。

先のことを考えてスペースを確保した場合、小さな洗濯機の期間中は中途半端にスペースが空くことが気になるかもしれません。その場合は、収納ラックやランドリーバスケットを置くなどしてデッドスペースが出来ないように、市販の収納ラックが入るサイズでスペースを確保しておくと有効活用できます。

また、とりあえず洗濯パン無しで暮らしてみるという方も、後々洗濯パンを設置することになったときに、入るスペースが確保出来ていなければ、レイアウトを変えたり洗濯機を小さくする必要が出てしまったりするので、洗濯パンを設置しない場合でも、将来的に洗濯パンが入るだけのスペースを確保していた方が安心です。

■洗濯パンの交換はプロに依頼した方が安心!

とりあえず洗濯パンは設置しないことに決めて、生活していく中で必要であれば、後で設置することも可能です。後で設置しようと思っている方の中には、安く抑えたいし、洗濯パンを置くだけであれば、DIYですれば良いのではないか、と思う方もいらっしゃいますが注意が必要です。

洗濯パン自体は、ホームセンターやネットショップなどでも買えるので、DIYは可能ですが、設置は単純に洗濯パンを置くだけではなく、排水口に排水トラップを設置する必要がありますし、フラットタイプであれば床にビス留めをする必要もあります。DIY出来るとはいえ、排水ホースが上手く取付けできていないと漏水が起こる危険があります。洗濯パンを設置したにも関わらず水漏れが起こってしまうと本末転倒です。洗濯パンの設置やサイズ交換などのリフォームはプロに依頼する方が安心です。

防水パンの耐用年数は20~25年とされています。10年を超えると劣化によってひび割れが起きることもあります。破損部分があると、洗濯パンとしての役割を果せなくなるので、洗濯機の交換時期などに合わせて洗濯パンの状態を確認して、劣化している場合は交換を依頼しましょう。

3. まとめ

洗濯パンは、万が一洗濯機からの水漏れが生じた際に、トレイ型になっているため水を受け止め部屋中や階下への漏水を防ぐ役割があります。また、振動や音を軽減したり、床が傷つくのを守ったりする効果もあります。しかし、設置義務はないので、掃除のしやすさや見栄えを重視して設置しないことを選択する方も増えています。洗濯機のレイアウトを考える際には、洗濯機のサイズではなく、洗濯パンのサイズに合わせてレイアウトすること、将来的に洗濯パンを設置したり、洗濯機を交換したりする可能性がある場合は、洗濯パンが入るスペースを確保しておくことによってリフォームの失敗を防げます。

日ごろの掃除のしやすさや使いやすさはもちろん、万が一の漏水トラブルを防ぐことも意識して洗濯パン設置の有無を検討しましょう!