器用でもダメ!?法律と資格が関わるDIYでは出来ないこととは?

DIYで家具を造ったり、家をリフォームしたりする方が増え、ホームセンターなどでも気軽に購入できる道具も増えてきました。
また、動画サイトやセミナーで、リフォーム方法を学ぶことが出来て、プロ顔負けの知識と技術を持つ方も増えています。
しかし、リフォームの中には、DIYでは行えない部分もあるので注意が必要です。

器用かどうか、知識があるかどうかに関わらず、プロに任せるべき工事と、その理由について、法律と資格という2つの点からご説明したいと思います。

1.法律上DIYでは出来ない工事とは?

まずは、DIYで出来そうだと思っても、行うことで違法建築になってしまう、法律上してはいけない工事に関してご説明したいと思います。その中でも、DIYで参加できる部分についても取り上げます。

■敷地内に小屋を建てるには建築基準法を確認

自分の家の敷地内だとしても、小屋を建てる場合や増築する場合は、用途に関わりなく、土地に定着して、屋根と柱と壁があるものは建築物となるため、建築基準法の下で工事を行う必要があります。建築基準法では、床面積が10平方メートル(約6畳)を超える場合は、建築確認申請が必要となります。

建築確認申請とは、建築基準法に基づいて、建築物の性能や安全性、土地に対する建ぺい率や容積率、住環境や耐久性などを確認する制度で、確認申請を行わなかったり、申請で建築基準法の要件を満たしていないにも関わらず建ててしまったりするなら、違法建築となってしまいます。違法建築物と判断されると、せっかく建てた建物が強制的に撤去されたり、刑事罰の対象になったりすることもあります。

建築確認申請をするためには、手続きのために図面や書類を作成し、建築士の資格が必要となります。そのため、自分の土地で、建てられる技術を持っていても、10㎡以上の小屋や増築をする場合は、確認申請が必要となり、かつ建築基準法の条件を満たしておく必要があります。

10㎡以下であっても、何も建っていない更地に、新たに小屋を設置する場合は、確認申請をしなければなりませんし、地域によっては10㎡以下でも必要な場合があるので、地方自治体の要件を確認しておくことは重要です。

しかし、器さえあれば、内装はDIYで仕上げることは可能です。そのため、申請が必要となる場合は、構造部分をリフォーム会社に依頼して建ててもらったうえで、天井や壁を塗装したり、クロスを張ったり、床にフローリングを張ったりすることは、DIYで楽しむことが出来ます。

■2025年からの建築基準法の改正に注意

古民家などを購入して、のんびりDIYで壁を撤去して家全体の間取りを変更したり、床を下地から張り替えたりする、本格的な大規模リフォームをしている方も少なくありません。しかし、2025年の5月からは、建築基準法の法改正により、木造2階建て以上の家の場合は、確認申請が必要となります。

今まではDIYでも問題なかった分野なので、施工事例が動画サイトなどにも沢山あがっており、参考にしながら自分で挑戦してみたいと思っておられる方もいらっしゃるかもしれませんが、2025年5月以降は、手続きが必要となり、省エネ基準を満たす必要があるなど要件も加わり、個人レベルでは出来なくなるので、注意が必要です。

しかし、木造2階建て以上であっても、下地からではなく、フローリングを張り替えたり、壁紙を張り替えたりする場合や、部分的な間取り変更の場合は、確認申請が不要とされています。工事規模や内容によってはDIYが可能なので、どこまで自分で行えるか、具体的に計画して確認しながら進めましょう。古民家などの中古物件を購入して、リフォームは自分で費用を抑えながら時間をかけて行おうと思っている方は、特に注意が必要です。

2.有資格者しか出来ないリフォームとは?

ここからは、どんなに器用で知識があっても、作業内容に資格が必要なリフォームに関して、ご紹介したいと思います。

■電気配線には電気工事士の資格が必要

壁や天井などの内装リフォームを行うとセットで工事をしたくなる部分として電気工事があります。しかし、電気配線などの工事には電気工事士の資格が必須です。

例えば、コンセントの場所を変えたり増やしたりする場合や、電気スイッチやコンセントカバーをまるごと新品に交換する場合には資格が必要です。(カバーの表面のみを交換する場合は、資格が無くても可能です。)また、エアコンを設置したり、ライティングレールや、天井や壁に埋め込み型のダウンライトなどの照明を設置したりする場合にも資格が必要となります。

スイッチやコンセント、照明など市販でも購入可能な物は多くあり、比較的安価な物が多いですが、だからといって誰でも設置出来るわけではなく、電気工事に関してはDIYで出来る範囲が狭いので、手に入るかどうか、技術があるかどうかに関係なく、資格が必要です。

そして、資格保有者が電気工事を行うことで、感電や漏電による発火などの事故を防ぎ、安全な工事で安全な住まいを手に入れることが出来るので、資格が無い場合は、プロに依頼しましょう。

■ガス工事はほぼDIYでは出来ない!

電気工事以外にも、資格が無ければDIY出来ない工事として、ガス工事が挙げられます。

ガス工事は、取り扱うガスの種類や工事内容によって必要な資格が様々あり、ガスに関係する工事のほとんどは、無資格では出来ません。

そのため、ガス給湯器の設置や、ガス栓やガス管の移動、風呂釜を設置してガス管の接続など、ガスが関係するリフォーム工事は基本的に資格保有者のプロに依頼しましょう。

無資格のままガス工事を行うと、罰金が科されるのはもちろんですが、メーカーの保証は受けられませんし、ガスは取り扱いが難しいので、知識や技術がない人が工事を行うと、配管接続部からのガス漏れや、ガス管損傷による爆発、排気設備の不全によるCO中毒といった、命に関わる事故に繋がり兼ねません。出来そうだから、とか費用を抑えたいから、といった理由でDIYを行わないようにしましょう。

3. まとめ

DIYで楽しめるリフォームは多くありますが、中には法律上出来ないことや資格保有者しか扱えない部分があります。
例えば、小屋や増築など、10㎡以上の建築物を建てる際には自分の土地であっても基本的には確認申請が必要で、申請無しや、申請に通っていないのにも関わらず建築した場合は、違法建築となります。
また、今までは申請無しで行えていた木造2階建ての大規模リフォームも、2025年5月からは工事内容次第で確認申請が必要となるので、建物の種類やDIYしたい内容を確認したうえで楽しみましょう。
さらに、電気配線工事やガス工事のほとんどに資格が必要で、無資格で行うと罰金が科せられるだけではなく、危険も伴います。資格が必要な工事はプロに依頼しましょう。

DIYを本当に楽しみたいのであれば、出来る範囲を把握して、安全にリフォームを行いましょう!