リノベーションの際に、キッチンのカタチやデザインを選び、カップボートや内装まで細かくコーディネートしたにも関わらず、冷蔵庫を置くと冷蔵庫が空間に馴染まなかったり、なぜか目立ってしまったりして、オシャレなキッチン空間が台無しになってしまったというケースは少なくありません。暮らしに欠かせない冷蔵庫ではあるものの、サイズが大きく存在感のある冷蔵庫がオシャレなキッチンを邪魔してしまうことがあるのです。
冷蔵庫をキッチン内で目立ちすぎないように、上手くコーディネートすることは出来るのでしょうか?リノベーション時の冷蔵庫の配置ポイントも含め、ご紹介したいと思います。
1. 冷蔵庫が目立って台無し!?
どのように冷蔵庫を目立たなくするかどうかを考える前に、まずはなぜ冷蔵庫の存在が目立ってしまうのか理由を知っておくことは大事です。目立ってしまう理由と、どんな解決策があるのかを、ご説明したいと思います。
なぜ冷蔵庫が目立つの?
冷蔵庫が目立ってしまう原因のひとつは、冷蔵庫のサイズと配置が考えられます。一般的にファミリータイプの冷蔵庫の奥行きは、キッチンの奥行きに多い60~65㎝です。そのため、壁付けキッチンと冷蔵庫を横並びに配置する場合は、前面が真っ直ぐと並び凹凸が出来ないので、特に目立つことはないかもしれません。しかし、対面キッチンになると、キッチンの横並びに置くためには、機械的な部分が見える冷蔵庫の背面を隠す必要があります。それを防ぐために、キッチン背面のカップボートと横並びに冷蔵庫を配置するケースは多いですが、一般的なカップボートの奥行きは、45㎝ほどなので冷蔵庫と奥行きサイズが違うことから、並べると凹凸が出来てしまい、前に出っ張っている冷蔵庫の圧迫感が出て目立ってしまいます。
さらに、他の理由として冷蔵庫のデザインが空間のテイストにマッチしないというケースもあります。例えば、リノベーション前から使っている冷蔵庫であれば、キレイになった空間に置くことで傷や汚れが目立ってしまう場合もあります。また、新しい冷蔵庫に買い替えたとしても、自然素材で仕上げた空間には、機械的で大きな冷蔵庫は目立ってしまいます。木目調などのデザインも出ていますが、自然の木目に囲まれると、人工感がさらに目立ってしまうかもしれません。また、欧米スタイルにこだわったキッチン空間で仕上げると、日本メーカーの冷蔵庫はデザインが合わないために浮いてしまい目立つということもあります。
冷蔵庫を空間に合わせるのは難しい!
冷蔵庫を目立たないようにする解決策のひとつは、空間に合ったデザインの冷蔵庫を選ぶことです。例えば、モダンな雰囲気やインダストリアルテイストのキッチン空間であれば、メタリックなデザインや業務用の冷蔵庫を選ぶことによって空間に合わせることが出来るかもしれません。しかし、自然素材など空間に合わせるにはデザインの選択肢に限界があります。また、欧米スタイルの家に合わせて海外メーカーの冷蔵庫を選ぶことも出来ますが、高価な物が多いですし、電圧や設置方法が日本とは違い、好みのテイストに合うデザインの冷蔵庫を入れることが出来ないかもしれません。しかも、模様替えやインテリアテイストを変えたり、リフォームやリノベーションをしたりする度に冷蔵庫のデザインを変えるのは現実的ではありません。
そのことを考えると、リノベーション後に冷蔵庫を空間に合わせるのではなく、リノベーションのプランニングの段階で、冷蔵庫を意識した間取りやコーディネートをする方が効果的です。しかし、良いプランニングをしておく必要があります。なぜなら、冷蔵庫を配置する場所には、コンセントを設置したり、スペースや高さを確保したりすることが必要です。また、料理を中心とした家事導線や使い勝手にも影響することなので、家具を模様替えするように簡単に配置替えが出来るような物ではありません。間取りを考える際に、冷蔵庫の位置や目立たないようにするプランをしっかり考えたうえで設置することによって、冷蔵庫のせいでせっかくのオシャレなキッチン空間が台無しになるということが避けられます。
2. 冷蔵庫を目立たないようにコーディネートするには?
リノベーションでキッチン空間をプランニングする際に、冷蔵庫の事も考えておくことが大事です。どのように目立たせず、テイストに合うようにコーディネートできるか、ポイントをご紹介したいと思います。
冷蔵庫とセットで家具を造作
一般的なカップボートは奥行きが冷蔵庫と合わないサイズが多く、凹凸になり目立ってしまうので、カップボートと横並びに配置する際には、奥行きが冷蔵庫と同じサイズになるものを選びましょう。キッチンメーカーのカップボートのラインナップの中には、60㎝以上の奥行きの物もあり、冷蔵庫と前面がフラットになるうえ、オーブンレンジなどの家電収納にも適しています。冷蔵庫を含むキッチン家電をまとめることによっても、ちぐはぐな雰囲気を防ぎ、スッキリと片付いた空間になります。
さらに、冷蔵庫のサイズやデザインに合わせて家具を造作するなら、埋め込み式の冷蔵庫のようにコーディネートしやすくなります。奥行きを合わせるだけではなく、冷蔵庫の上部から天井までの間に天袋収納を設けることによって、より冷蔵庫まわりに凹凸が無くなるので、冷蔵庫も家具の一部のようにまとまります。
冷蔵庫もセットで造作家具を作る場合は、冷蔵庫と家具の色や質感を合わせることが大事です。逆に正反対のものにして冷蔵庫をアクセントのようにコーディネートすることもオシャレです。しかし、冷蔵庫には買い替えの時期があることを意識しておく必要もあります。買い替え時のことも考えて造作家具をプランニングしておかなければ、家族構成の変化や子どもの成長に伴って冷蔵庫を大きくしたいのに、空間に入らずに諦めなければいけないということになってしまうかもしれません。造作家具を冷蔵庫にピッタリ合うように作ることは見栄えは良いですが、デメリットがあることも考え、想定しておきましょう。
目立つなら隠すという方法もある!
好みのデザインや室内のテイストに合う冷蔵庫がないこと、あったとしても使いやすいものではない場合や予算に見合わない場合があることを考えると、どんな冷蔵庫でも使える間取りにしておくことがおススメです。その方法として、冷蔵庫を目立たない位置や目につかない位置に配置することが効果的です。
例えば、奥行きが同じぐらいで凹凸が出来ない対面キッチンと冷蔵庫を横並びにして、冷蔵庫の側面と背面を壁で囲うことで、冷蔵庫は隠れ目立たないうえ、導線もスッキリとします。他にも、背面収納を床から天井までの壁面収納にして扉を設け、その中に冷蔵庫まで隠してしまえば、料理中以外は扉を閉めて隠すことが出来ます。また、キッチンと繋がるパントリー内に冷蔵庫や家電など生活感や機械的な素材のものを配置することによっても、隠すことが出来ます。
3. まとめ
冷蔵庫は大きく存在感があるうえに、一般的なカップボートと奥行きが違うことや、好みのテイストと素材がマッチしないことなどのせいで、キッチン空間で目立ってしまうということがあります。しかし、だからといって冷蔵庫をキッチンに合わせて購入するのはデザイン性が限られていることや、頻繁に変えることが出来ないことから、現実的ではありません。冷蔵庫を目立たせず、キッチン内をオシャレにコーディネートするためには、リノベーションのプランの時点で意識しておくことが重要です。奥行きを合わせたカップボートを選ぶことや、造作の収納に冷蔵庫を組み込むこと、壁や扉を設けることや、パントリー内に配置して隠すことが出来ます。
冷蔵庫を含め家電はインテリアデザインに影響するので、リノベーション後ではなくプランニング段階で、デザインや見栄え、配置を意識してセットで考えるようにしましょう!