暖かい季節になり、花は満開に、さらに新緑を楽しんだり、夏野菜を楽しんだり、植物が成長する良い季節になっていきます。休みを使って自然の多い地域にドライブや旅行に行くのも良いですが、家の中でも観葉植物や家庭菜園などグリーンを楽しめる環境にすれば、趣味を楽しんだり、いっそう癒しの空間になったりします。しかし、植物を育てるには、そのためのスペースを確保したり、植物にとって良い環境を整えたり、お世話がしやすいようにしたりする必要があります。
そこで今回は、家に居ながらグリーンを楽しめる環境にするために、また植物にとっても良い環境であるうえに、お手入れがしやすいようにするための家づくりのヒントをご紹介したいと思います。
1.観葉植物を楽しめる家にリフォームしよう!
庭が無いマンションにお住まいの方を含め、家の中でグリーンを楽しめるようにするには、どんな点を意識してリフォームをすると良いのか、ポイントをご紹介したいと思います。
観葉植物は室内向き!
植物を育てるには、その植物の原産地と似た環境で育てることが重要です。日本のホームセンターや植木屋さんで売られているような観葉植物の多くは暖かい地域で自生するものが多いので、基本的には寒さがある日本の気候には適していません。しかし、断熱性の高い家であれば、室内を一定の温かさに保つことが出来るので、観葉植物を育てることに向いている環境になります。その一方で、日光を好むものも多いので、室内でも日光が入り、温かさが確保できる窓際のスペースで育てることがおススメです。しかし、家の中で日光が入る場所は限られるので、植物を置く場所を前もって確保して間取りや家具をレイアウトするようにしましょう。
さらに、温度や日光以外にも、植物の種類によっては湿度や風通しも重要です。例えば、モンステラやシダ植物のアスプレニウムなどの熱帯原産の観葉植物であれば、適度に湿度があることで、よく育ちます。特にモンステラは耐陰性があるので、一般的に水回りが集まる北側の浴室や洗面所などでも元気に育てることが可能です。ただし、適度に明るさも必要なので、浴室や洗面所などに観葉植物を置くための出窓を造り、湿度と日光を好む観葉植物を飾ることが出来るかもしれません。
窓の位置が変えられないマンションであっても、窓の内側に棚を付けることは可能です。浴室であっても在来工法にして出窓のように段差を設けたり、ユニットバスのサイズを調整して、出窓風に作り替えたりすることも可能です。
窓際以外でも植物を取り入れる
直射日光が必要のない耐陰性のある植物であれば、窓際以外でも明るさが入るところに飾ってお世話することが可能です。壁厚を活用して作るニッチの中に飾ったり、造作棚を設けたりして室内の様々なところに植物を飾ることが出来るかもしれません。
特に、アイビーやポトスなどのツルが伸びる植物であれば、目線より高い位置に置く方がオシャレに飾ることが出来るので、家具に緩衝することなくレイアウトの幅が広がります。壁面に棚を設けて置くことも出来ますし、吊り下げタイプのハンキングプランター用に天井にアイアンバーを設けたり、照明器具とセットで使えるライティングレールを設けたり、梁見せ天井にして梁にプランターを引っ掛ける部分を作ったりすることが出来ます。
壁や天井を活用する場合には、植物の重さに耐えられるように補強工事が必要となるので、この場合も前もって植物をどこにレイアウトしたいかを決めておきましょう。
2.家庭菜園を楽しめる外構づくり
室内で観葉植物を楽しむだけではなく、玄関周りや庭など、家の外まわりでも植物を楽しむことが出来る家にするために、どんな点を意識して家づくりを行うと良いのか、ポイントをご紹介したいと思います。
土いじりがしやすい花壇づくり
春から夏にかけて雑草に悩まされるので、外構の芝生や土の部分を無くしたいと、砂利を敷いたりコンクリートを流したりするリフォームを依頼される方は少なくありません。しかし、その一方で玄関周りや庭で家庭菜園を多少は楽しみたいと思っておられる方も多くいらっしゃいます。
その問題を解決するためにプランターを採用する方もいらっしゃいますが、やはり地植えの方が植物の育ちが良くなる確率は高いので、出来ることならば、雑草が生えないような仕上げにしたうえで、庭木の周りをレンガで囲んだり、家庭菜園用のスペースを残したりする外構リフォームを行いましょう。
家庭菜園のスペースを作るのであれば、花壇スタイルにして、あえて花壇のブロックに腰をかけられるぐらいの、40㎝程の高さにすることで、植物がしっかりと根をはりやすい深さを確保できます。また、土いじりする時にしゃがむことなく、イスを持ってきて腰をかけた状態で作業が出来たり、立った状態で実を収穫したり出来るので、足腰に負担をかけずに家庭菜園を楽しむことが出来ます。また、花壇の高さがある方が、周りから砂ぼこりや雑草が入りにくく、お手入れもラクになります。
さらに、高さのある花壇を作っておけば、家庭菜園を行わない冬の時期は、花壇用のフタを付けて生ごみを処理するコンポストとして活用して、春の土づくりに備えることができます。また、数年後に何も植えなくなったという時にも土を撤去して、木板などでフタを作って収納スペースにしたり、ベンチとして活用したりすることも可能です。
家の中に土や泥を持ち込まない工夫
外の植物は雨によって自然に水やりが出来るとはいえ、猛暑の時期は、水不足になるため定期的な水やりが必要になります。家から水を汲んで外まで運ぶのは手間なので、菜園スペースに近いところに立水栓を設けて水やりをしやすいようにしておきましょう。
立水栓があれば、家に入る前に手を洗えるので、汚れた手でドアや窓を触ることを防げますし、土がついた靴やスコップなどの道具、収穫した野菜の土を外で洗うことも出来ます。外に蛇口があると、家庭菜園以外にも、洗車やアウトドアグッズの掃除に使えるので便利です。
さらに、収穫物がある植物がメインであれば、玄関を通らずにキッチンに入れるように、キッチン横に勝手口を設けたり、勝手口横に野菜をストックできるような土間のパントリー兼土いじりの道具の収納場所を作ったりすることで、収穫から料理までスムーズに食材を運ぶことが出来るかもしれません。土いじりのしやすさだけではなく、その後の動きも考えて出入口や部屋のレイアウトを行いましょう。
3. まとめ
ちょっとした工夫で、室内でも植物を楽しむことが出来ます。温かさや日光の必要な植物は窓際に棚を設けて飾ったり、耐陰性のある植物は目線より上のスペースを活用してハンキングプランターにしたり、湿度が必要な植物は水回りに飾るなど、飾りたい植物の原産地を確認したうえで、家の中で最も似た環境に植物を飾るスペースを作ることで元気に育てやすくなります。植物も家具のように、どこに置くかレイアウトを決めて、スペースを前もって確保しましょう。また、家庭菜園を外で楽しむのであれば、雑草が生えにくい仕上げにしたうえで、高さのある花壇を設けることで足腰に負担をかけずに土いじりが出来たり、水やりがしやすいように立水栓を設けたり、外の汚れを持ち込まず、収穫物をキッチンに運びやすい動線を確保することを意識して外構づくりをしましょう。
家に居ながら自然を楽しむことが出来る、癒しの環境にするための家づくりを行ってみてはいかがでしょうか?