マンションを含め、最近の新築でも0.4坪の広さのトイレが増えています。しかし、日本では0.5坪(約タタミ1畳分)が一般的なトイレの広さとされているため、それよりも狭いと、トイレとして不便なのではないか、と心配になる方は少なくありません。また、トイレリフォームをしたいものの、給排水管の関係や他の部屋との間取り上、トイレを広く出来ず0.4坪のままで出来るだけ広く使いたい、広く見せたいと考えておられる方もいらっしゃいます。
実際に0.4坪のトイレは狭いのでしょうか?リフォームでトイレを広く見せるためのポイントと共に、ご説明したいと思います。
1.同じ0.4坪のトイレでも広さが違って見えるワケとは?
そもそも、0.4坪とはどれぐらいの広さなのでしょうか?トイレの広さは実際の広さだけではなく、広く感じるのは、どんな点が影響しているのか、という点についてもご説明したいと思います。
■0.4坪ってどれぐらい?
0.4坪は、約幅80㎝×奥行き120㎝の空間です。マンションでは、0.4坪のトイレが一般的に多く、以前は戸建ではセカンドトイレの広さとして採用されることが多かったですが、LDKや寝室などの居室にスペースを出来るだけ充てるために、最近の戸建ではメインのトイレでも採用する方が増えています。
ただし、トイレをリラックスできる空間にしたいという方や、小物を飾りたい方、手洗い器やカウンターを設けたい方、間接照明をつけてオシャレな空間にしたい方にとっては、0.4坪は狭く適していませんが、トイレという用途のためだけであれば問題のない広さです。
0.4坪の広さでは、介助者や車いすが入ることが出来ないため、介護には適していませんが、0.4坪であっても便器側面に3枚引き戸のドアを設けることで利用者はトイレに入りやすく、壁に手を付ける広さなので転倒防止にもなり、ドアの種類によっては、高齢になっても自力でトイレに行くという点では便利な広さとも言えます。
■同じ0.4坪でも広さの体感が違うのはナゼ?
同じ0.4坪の広さのトイレでも、広く見えたり、逆に狭く見えたりします。それは、トイレ内の視覚効果が関係しています。特に下記の条件によって体感が変わります。
・窓の有無・・・窓があることで明かりが入り広さを感じます。縦長の窓にすることで、高さを感じさせることも可能です。さらに、窓が出窓であれば、トイレの床面積は同じでも、奥行き感が出ますし、飾り棚としても使えます。
・天井の高さ・・・面積が同じでも、天井が高いほど開放感が出ます。しかし、一般的な戸建の天井高である2m40㎝以上の高すぎる天井になると反対に、床の面積の狭さが強調されてしまうので注意が必要です。2m以下の天井高以外にも、階段下のデッドスペースを利用したトイレでは、天井に凹凸が出て、さらに狭さを強調してしまう可能性があります。
・照明の種類・・・小ぶりで天井埋め込み型のダウンライトに比べ、コードで垂れ下がるペンダントライトを使うと笠が目立ってしまったり、視界に明かりが入ったりして圧迫感を感じさせてしまいます。カウンター付の広いトイレに小ぶりのペンダントライトを設置するコーディネートが流行っていますが、0.4坪のトイレでは効果的ではありません。広さの視覚効果を狙うのであれば、凹凸の無いスッキリとした照明機器が効果的です。
・ドアのサイズや種類、位置・・・ドアに採光用のガラスが付いていると窓と同様に明かりを取り入れることが出来て開放感につながります。ドアの種類も、トイレに隣接する部屋や廊下が狭い場合は開き戸よりも引き戸の方がスペースをとりませんし、立ち位置を変えずに開閉動作が出来るので便利です。さらに、便器の正面にドアがある場合は、座る際に体を180度回転させる必要がありますが、便器横の場合は、90度体を動かすだけで座れるため、トイレ内の動作にも違いが出ます。ドアを開けた時に便器が正面に見えるのと、見えないのでは、ドアを開けた際のスッキリ感も違います。見え方や使用感は好みなので、ドアの種類や位置をよく検討しましょう。
・床と壁の色やデザイン・・・原色やダーク色、また柄物でも大柄なデザインは狭さを強調させます。明るい色のフロアシートやクロスに張り替えるだけでも、広く感じる視覚効果が得られます。
以上のように、実際には同じ0.4坪の空間でも、視覚効果によって広く見えたり、狭く見えたりします。トイレをリフォームする際や間取りを考える際には、これらの要素が与える影響を考えてプランニングすることで、圧迫感のない落ち着く広さで快適なトイレにすることが出来ます。
2.0.4坪のトイレを広く使う・広く見せるポイント
トイレを出来るだけ広く見せるためには、上記で取り上げた内容が影響していることが分かりましたが、現在0.4坪のトイレをお使いのお宅では、どうすれば出来るだけ広く使い、広く見せることが出来るのでしょうか?そのポイントをご紹介したいと思います。
■タンクレス便器よりもコンパクトタイプ
トイレを広く見せるうえで高さが無いタンクレス便器が勧められますが、タンクレストイレの中には、便器自体が大きいものもあり、メーカーや便器の種類によっては物理的にトイレが狭くなってしまうので注意が必要です。
トイレを広く使えるようにするためには、タンクレスかどうかではなく、各便器のサイズを確認して、コンパクトタイプの便器を選ぶことを意識しましょう。コンパクトとうたっているタイプでも、メーカーが違えば5~10㎝奥行きが違いますし、タンク付きでもタンク部分が低いデザインのものなど、コンパクトタイプにも種類があります。給排水管の位置によっても、便器の設置位置が微妙に変わってくるので、便器のサイズと位置をしっかり確認しておきましょう。
また、ウォシュレットのリモコンは便座一体型ではなく、壁付けにすることで便器自体をコンパクトにまとめることが出来ます。
■モノを置かないスッキリトイレに!
トイレ内の凹凸を出来るだけ無くすことを意識すれば、空間をスッキリ見せることが出来るうえに、トイレ内の動作の邪魔にもなりません。
例えば、トイレの壁厚を利用して埋め込み型の収納やニッチを設けて収納にすることで、トイレ内の掃除道具やトイレットペーパーなどをスッキリと収納出来ます。
また、トイレを出てすぐに手を洗う場所を確保出来るのであれば、タンクレストイレや手洗い器無しのタンクにすることで、タオルホルダーなどのアクセサリーをトイレ内に付けずにすむので、壁面がスッキリします。しかも、手を洗うことによる水はねを防ぐことが出来るので、清潔で掃除の手間も軽減できるメリットもあります。
3. まとめ
マンションに限らず戸建てでも増えている0.4坪の広さのトイレは、トイレとしての用途としては問題ないものの、条件によって圧迫感や狭さを感じることがあります。窓の有無や天井高、ドアや内装材の種類やデザインによって視覚効果が変わります。また、便器のサイズもメーカーや種類によって異なるので、トイレを広く使い、広く見せるためには、床面積以外の部分を意識し部材選びやコーディネートを行いましょう。
0.4坪のトイレでも、使いやすさと見え方にこだわることで、快適な空間にリフォームしましょう!