家族が集う時期に南海トラフト地震に備える家づくりを考えよう!

8月8日に日向灘を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生したことで、日本の各地で大地震に対する警戒が強まっています。気象庁が発表した最大クラスの南海トラフト地震が発生した際の被害想定で世田谷区は震度5弱の範囲に入っています。震度5は、体感的にもかなり大きな揺れで、揺れの方向や、家の状態によっては、建物の一部が倒壊したり、家具やモノが倒れたりしてしまう危険があります。

今後、一部では震度7も想定される大地震に備え、家族が集う夏休みやお盆の時期を活用して、家族を守る手段や防災のこと、家のことを考えてみましょう。大地震に備えて、何が出来るか、個人や街として取り組めることもご紹介したいと思います。

1.大地震に備える家づくりを今すぐ!

普段通りの生活を送りながらも、いつ起こるか分からない大地震に備えておくためには、今のうちに出来ることを行っておく必要があります。避難グッズの用意も重要ですが、まずは家そのものが安全な場所になるように、在宅避難が出来る場所にしておくことが重要です。家に関するどんな備えが出来るかご説明したいと思います。

■まずは耐震性をチェック!

まず確認しておきたいことは、家がどれだけ地震に耐えられるか、耐震性能をチェックしておくことが重要です。現状が分かっていなければ、補強やリフォームなど、対策が分かりません。しかも建物の耐震性は、構造や間取り、屋根や外壁の素材などが関係しており、築年数が古くても耐震性が高い構造の家もあれば、劣化は見られない築浅の家でも、地震の揺れに弱い場合もあります。年数や見た目の劣化具合だけでは判断できない部分です。

耐震診断士など専門的な知識が必要となるので、現状の家の状態を把握するためには、プロに耐震性をチェックしてもらいましょう。世田谷区では、平成17年度より区に登録している木造住宅であれば、木造住宅耐震診断士による無料耐震診断が行われています。無料耐震診断の対象にならないお宅であれば、リフォーム会社や建築会社に依頼して、早めに家の状態を把握しておきましょう。

■今すぐ出来る対策を考える!

耐震診断を行って、耐震補強を行う必要が分かった場合は出来るだけ早く耐震リフォームを行いましょう。しかし、構造部分に影響する補強など、大がかりな工事で、すぐに行えないリフォームもあるので、今の時点では優先順位を考えたり、命を守ることに特化した対策を行ったりする方が良い場合もあります。

例えば、リフォームのタイミングで片付けや模様替えをしたいと思うかもしれませんが、すぐに耐震リフォームが行えないのであれば、家族の協力が得られる夏休みの時期に、片付けや家具の配置替えをして非難経路や、自宅避難中の家族の寝る場所を確保したり、家具が転倒しないようにストッパーを付けたりしておくことが出来ます。玄関ドアや勝手口、ドアの開閉がスムーズに行えずに、閉じ込められるというケースもあるので、ドアだけでも先にリフォームすることも出来るかもしれません。耐震診断を行ってもらったタイミングや、リフォーム会社にリフォームの優先順位を確認しておくことは役立ちます。

一方で、過度に耐震性を考えて、簡易的なリフォームや早急なリノベーションを行うことの危険性もあります。耐震リフォームを行うタイミングで間取りを変えたり、大がかりなリノベーションを行ったりしたい、という場合に、いつ来るか分からない地震に備えて出来るだけ早くという意識に囚われすぎて、よく考えずに計画してしまうと、日常生活が快適ではない家になってしまう可能性があります。地震に備えることも重要ですが、日ごろ快適な暮らしを送ることは常に大事なので、必要以上に焦ることがないようにしましょう。

2.世田谷の街と協力して防災しよう!

災害時には、個人単位、家族単位だけではなく、近所や街の協力や助けが欠かせません。個人としての家づくりだけではなく、世田谷区民としてどんな点に協力できるか、どんな助けを活用できるか、ご紹介したいと思います。

■助け合いやすい街づくり

大地震の際には、自分や家族の命を守ることは勿論ですが、街の人と助け合える環境、近所の人の命も大切に出来る環境にしておきたいものです。特に家の外まわりは、災害時に近隣の人に影響を与えてしまう可能性があるのでチェックして備えておくことは重要です。

例えば、地震の揺れで塀や庭木が道路に倒れてしまうと、避難の妨げになったり、救急車や消防車、給水車などの侵入に時間がかかってしまったりする可能性があります。劣化が進んでいる塀はリフォームしたり、木を定期的に剪定したりしましょう。場合によっては、塀を無くしてオープンな庭にすることも出来るかもしれません。また、避難経路を遮ることがないように、自転車や車を停める位置やプランターの位置も確認して、自分やご近所さんの避難経路をしっかりと確保することも大切です。

今のうちに、緊急避難場所まで実際に行ってみることで、安全な通路かどうかを確認したり、どんなことが問題となりえるか把握したり出来るので、自分達だけではなく、自治体で話合って改善してもらうことも出来るかもしれません。

■世田谷区民は防災カタログを活用して備えよう!

世田谷区では、在宅避難の推進に向け、各家庭の震災時の備えを支援し、防災意識を高めるために、8月より全世帯に対して防災カタログギフトの配布が始まっています。

世帯主に対し、世帯人数×3,000円相当のポイントがもらえ、そのポイントを活用して、水、食料、携帯トイレ、防災ラジオ、モバイルバッテリー、感震ブレーカー、家具転倒防止器具、カセットガスコンロといった、在宅避難や出火防止、家具転倒防止に役立つものを購入できます。

防災カタログを活用することで、個人単位で食品の備蓄をすることも出来ますし、出火防止することで家族やご近所さんの命を守るうえでも貢献できるかもしれません。

例えば、感電ブレーカーを選択すれば、地震による大きな揺れに対応して自宅内のブレーカーを自動で切ってくれるので、電子機器からの出火や、停電が復旧した際の通電火災を防ぎ、地震による二次災害から命を守ってくれます。

令和6年8月より、防災カタログギフト(愛称:せたがや防災ギフト)を全世帯に配付します! | 世田谷区ホームページ (setagaya.lg.jp)

3. まとめ

南海トラフト地震が発生すると、日本の広範囲で大きな揺れが想定されます。強い揺れでも自分や家族の命を守るためには、早めの備えが重要です。出来るだけ早く家の状態を知るために耐震診断を行い、必要な耐震リフォームを施しましょう。リフォームまでに時間があるのであれば、夏休みの時期を活用して家族で片付けや、家具の配置替えといった防災対策を行うことも出来るかもしれません。区が出している防災カタログを活用することも役立ちます。また、室内だけではなく、街の人とも協力し合えるように、家の外まわりの状況も確認しておきましょう。

安全な家、安全なまちづくりを行い、快適に日々の生活を送りながら、大地震にも備えておきましょう!