若い世代では共働き世帯が増え、親世代では高齢化が進んでいるということもあり、親夫婦と子ども夫婦が協力して、家事や子育て、介護などをすることで、お互いにメリットがあると感じている方は少なくありません。そのため、お互いの家に通い合ったり、近くに引っ越してきたりするケースは増えていますが、コロナウイルスの流行によって自由に行き来出来ないことを経験してからは、二世帯住宅を選ぶ方が増えています。しかし、二世帯住宅の中には、今まで良好な関係だったのに、一緒に暮らすことでトラブルになってしまうことやストレスが溜まり快適に暮らせない、結局別々に暮らすことになったというケースもあります。
そこで今回は、今の家を二世帯住宅にリノベーションしたり、二世帯住宅を購入して自分達の暮らしに合わせてリフォームしたりするうえで、どのような二世帯住宅にすると心地良い暮らしを手に入れることが出来るのか、ポイントをご紹介したいと思います。
1.家次第で暮らしにくくなる!?二世帯住宅での問題点
二世帯での暮らしを楽しみにしたいたり、安心して暮らせるようになると思っていたりしていたにも関わらず、いざ二世帯住宅にリフォームして暮らしてみると、上手くいかないというケースがあります。二世帯住宅でよくある問題点をみてみましょう。
■プライバシーが守れず結局別居に!
親子という近しい関係とはいえ、それぞれの夫婦間でのペースやルール、子育ての方針や方法などには違いがあります。しかし、二世帯住宅で暮らすようになって、互いの暮らしの様子が見えすぎたことで、干渉されすぎることがストレスとなり、共に暮らせなくなるというケースは少なくありません。
特に生活の様子が分かりやすい、キッチンやお風呂などの水回りを共に使う共有スペースが多い間取りや、料理や洗濯、掃除といった家事を一緒に行うスタイルにしている場合は、協力し合えるメリットがある一方で、ライフスタイルの違いを感じやすくなって、口出ししたくなる、もしくは気を使って疲れてしまう原因になってしまうかもしれません。
家事スぺース以外にも、納戸やファミリークローゼット、シューズクロークなどの収納スペースが同じことで、持ち物を干渉されたり、勝手に使われたり、プライバシーを守ることが難しいというケースもあります。
■フロアで分ける王道二世帯住宅が正解ではない!?
フロアごとに世帯を分ける二世帯住宅は多く、足腰のことを考えて1階は親世帯、2階は子ども世帯というケースが一般的です。しかし、親世帯にとって2階の音が1階に響いて夜が眠れない、家事の手伝いや孫の世話に行くために、何度も2階は上らなければいけないということは多く、足腰の負担はないものの、フロアで分けることが誰にとっても使いやすい二世帯住宅になるというわけではありません。
フロアごとに分ける場合でも、意外と出入りが多く、物音が立ちやすい子ども世帯が一階で、親世帯は階段に手すりを付けたり、トイレなどの水回りを整えたりすることで、2階の方が便利と感じているお宅もあります。また、フロアごとではなく縦半分に区切って、どちらの世帯も1・2階が使えるようにすることで公平に区分出来てライフスタイルに合っていると感じているお宅もあり、王道とも思われているフロアで分ける二世帯住宅は、ライフスタイルによっては、住みづらい家になる場合があるので注意が必要です。
2.2世代ともに心地良く暮らせる二世帯住宅にするには?
上記でとりあげた問題点からも分かるように、誰もが心地良く、風通しの良い関係の中で暮らすためには、単純に家が2つあれば良い、一緒に暮らせば良いというわけではありません。二世帯住宅の家をつくるうえで意識しておきたい点をご紹介したいと思います。
■何を共有させるかを考える!
キッチンやお風呂といった水回り設備機器などは共有する部分が多ければ多いほど、ひとつにまとめることが出来るのでリフォームコストをカットできるというメリットがあります。しかし、共有する部分は、ライフスタイルに大きく影響するにで、長く快適に暮らしていくことを考えるなら、コストカットを優先させるよりも、ライフスタイルに合っているかという点をしっかり考えたうえで決めるようにしましょう。
そのため、まずは何を共有で使うか、どこを行き来できるようにするかを考えて間取りを考えることが大事です。干渉しすぎない風通しの良い暮らしが良い方もいれば、みんなで楽しく自由にいつでも行き来できる家が良いと思う方もいるので、自分達が求めている暮らし方を率直に話し合う必要があります。話し合いを進めていくうえで譲歩する部分は必要ですが、遠慮して言わないままにしておくと、間取りや暮らしに反映されてしまうので、ストレスが溜まる一方になってしまうかもしれません。完全同居型にするのか、一部共有型にするのか、完全分離型にするのか、それぞれの世帯で希望タイプを考えておきましょう。
例えば、プライバシーを守り干渉されにくい二世帯住宅にする場合は、基本は共有する部分を作らず、玄関だけ、庭だけ共有したり、渡り廊下のみで繋げるだけの間取りにしたり出来るかもしれません。
反対に、出来るだけ同じ時間を過ごせる二世帯住宅にするのであれば、水回りやリビングを共有にしつつも、それぞれの友人との時間を楽しめるように、サブリビングを設けたり、玄関や、寝室のフロアを分けたりして、プライベートな部分も作っておくことで、協力して家事を行い、子育てや介護がしやすい間取りになります。
■ライフスタイルの違いと同じ部分を意識する!
二世帯住宅を造るにあたって、部屋数や広さ、共有部分を考えることに加え、それぞれのライフスタイルを確認しておくことは重要です。もちろん、二世帯住宅になることでライフスタイルに変化は生じますが、出来るだけ心地良く快適に暮らすためには、今まで通り、自分らしい暮らしを大切に守ることが大事です。
間取りなどを考える時は、家の要望を話あうだけではなく、今どんなペースで、どんな暮らし方をしているのか、洗濯物をどこに干したいのか、食事のスタイル、寝る時間、趣味、通勤通学のことなど、1日や1週間の家事や暮らし方の流れを具体的に伝え合いましょう。お互いのライフスタイルを部分的ではなく一日の流れを意識して話すことで、どんな違いがあるのかが分かったり、同じ時間に行っていることを共有できたり、大変だと思っている部分で協力出来ることに気づけたり出来ます。
ライフスタイルの違いと同じ部分を意識することで、暮らしやすい間取りがおのずと見えてきて、デッドスペースを無くしたり、無駄なコストを省けたりが出来て便利です。
3. まとめ
家事や子育て、介護を協力して行えるというメリットから二世帯住宅を選ぶ方が増えていますが、よく考えて家づくりを行わなければ、快適に暮らせるどころか、互いの生活に干渉しあってストレスが溜まったり、ライフスタイルに合っていなかったりして、場合によっては共に住み続けられないことさえあります。二世帯住宅にリフォームやリノベーションを行う際には、一般的なスタイルや間取りにとらわれず、お互いのライフスタイルを率直に話し合い、どこを共有するか、一緒に行うか、自分達の暮らしに合った家をつくるようにしましょう。
二世帯が協力して、自分らしく、より暮らしやすくするための二世帯住宅を考えてみましょう。