収納さえあれば片付くはずだと思い、リフォームで収納スペースを増やしたモノの、思ったより片付かなかったという方は少なくありません。中には、既に収納するスペースは沢山あるのに、使いづらく、片付かないことがストレスになっている方もいらっしゃいます。この原因は、収納量が多いかどうかだけではなく、片付けやすい収納になっているか、という点にあるかもしれません。

片付け上手な人は、収納を作る時から片付けやすい工夫が行われています。そこで今回は、片付け上手な人の収納に共通しているゴールデンゾーンの取り入れ方をご紹介したいと思います。

1. ゴールデンゾーンを知っていると断然片付け上手に!

片付けしやすい収納を作るうえで、知っておくと役立つゴールデンゾーンとは何か、どのように収納に取り入れると良いのかをご説明したいと思います。

■ゴールデンゾーンって何?

ゴールデンゾーンとは、人の腰から目線の高さまでの範囲のことを指します。

身長の高さによって腰から目線の高さは異なるので、ゴールデンゾーンも人によって範囲が異なります。家族の中でも異なるので、まずは、一人一人のゴールデンゾーンを把握することが大切です。

■片付け上手はゴールデンゾーンの使い方が上手

ゴールデンゾーンにあるモノは、しゃがむことなく、立った状態のラクな姿勢のままで物を出し入れすることが可能です。しゃがむ動作がないことで、すぐに出し入れできて家事動線がよくなり、片付けの時短にも繋がります。不自然な動きではなく、出し入れが苦にならないため、片付けがストレスになりにくいというメリットもあります。片付け上手な人は、ゴールデンゾーンの使い方が上手です。

例えば、食品や調理器具などの収納として使用するパントリーでは、ゴールデンゾーンに、日常的に使う調味料や器を収納し、月に数回程度のモノは腰下の棚に、年に数回しか使わないモノは、目線より上の棚に収納することで、出し入れしやすい位置になっています。ゴールデンゾーンだけをオープン棚にして、上下には扉を付けて隠すことで、日常使いするモノは取り出しやすく、日ごろ使わないモノにはホコリが溜まるのを防ぐことが出来て、掃除の手間を軽減出来ている方もいらっしゃいます。

また、カウンター下収納など、もともと腰下の範囲にしかない収納であっても、ゴールデンゾーンと同じ考え方でモノの置き場所を考えることが出来ます。例えば、引き出しタイプの収納であれば立った状態ですぐに見える一番上の引き出しに使う頻度の高いモノを入れます引き戸や開き戸など、しゃがんで収納内を見る必要があるのであれば、しゃがんだ時に一番見やすい位置や、手が届きやすい位置がしゃがんだ時のゴールデンゾーンになります。収納のサイズや幅、出し入れする時の態勢もふまえたうえでモノの置き場所を決めましょう。

ゴールデンゾーンに一番使うモノを収納することを意識すると、片付けるモノの位置が決まるので、収納棚の高さや奥行もおのずと決まって収納内を作りやすくなります。

2. 片付け上手になるための収納の作り方

ゴールデンゾーンについて理解したうえで、自分の家に当てはめて片付け上手になるためには、どんな点を意識して収納を作ると良いのでしょうか?ポイントをご紹介したいと思います。

■誰のゴールデンゾーンに合わせるべきかを意識する!

収納内のゴールデンゾーンを決める際には、誰にとって使いやすいとスムーズに片付けられるのかを考えてみましょう。例えばパントリーは、メインで料理をする人のゴールデンゾーンに合わせたり、洗濯物を干す人のゴールデンゾーンに合わせてランドリールームに収納棚を設けたりすることが出来ます。

また、家族のだれかひとりだけが片付けを行うよりも、協力して行える方が、家の中をキレイに保ちやすくなります。子供たちが自分で片付けるために子供たちの、家事を協力してもらうためにパートナーのゴールデンゾーンも意識できないか考えてみましょう。

子供たちのおもちゃや、学校の持ち物など自分で片付け出来そうなモノは、子供たちのゴールデンゾーンに合わせて収納を作りましょう。幼い子にとっては、座った状態で片付ける方がラクな場合もあります。その場合には、床に置ける収納ボックスを用意して、自分たちでおもちゃなどを投げ入れるように片付けてもらったうえで、ボックスごと押し入れの下段に収納できるようにすれば、片付けの習慣が身に着けやすいうえに、まとめて隠すことも出来て室内はスッキリします。成長に合わせて、ボックスの片付けも子供たちにしてもらうことが出来るかもしれません。

収納内に、ゴールデンゾーンは一か所だけと考える必要はありません。大人のゴールデンゾーンと子供のゴールデンゾーンを組み合わせて収納内を作ることで、上から下まで効率よく収納できてデッドスペースがなくなるうえに、子供たちが片付けしやすく習慣づけやすいというメリットもあります。幅の広い収納であれば、右と左でゴールデンゾーンを変えた収納スタイルにすることも出来るかもしれません。

■収納内は可動棚にして適度に見直しも大切!

収納するものが変わっても良いように、収納内は出来るだけ可動棚にしておきましょう。そうすれば、子供たちの成長にも合わせて使うことが出来ます。

また、リフォームの際にはゴールデンゾーンを意識して何を入れるかしっかりと検討して場所を決めるかもしれませんが、その場所が正解とは限りません。少しでも取り出しづらいな、と感じたり、意外と片付いていないかも、と感じたりすることがあれば、収納内のモノの場所を移動させたり、棚の高さを変えたりして、使いやすい位置を生活しながら探っていくことも重要です。そのためにも、収納内を作り込みすぎない、フレキシブルに使えるようにしておくというのは大切なポイントです。

中には、収納内に棚を沢山設けたものの、使うのはゴールデンゾーンだけだったというケースもあります。使わない腰下の棚は無くして、ごみ箱や移動式のワゴン、掃除用具などを置いた方が、棚よりも有効活用できて部屋もスッキリするかもしれません。収納内を見直す際には、棚の高さを変えるだけではなく、棚を無くして広いスペースを利用するという選択肢があることも覚えておきましょう。

3. まとめ

片付け上手な人の多くは、ゴールデンゾーンを意識した収納をしているという共通点があります。腰から目の高さまでのゴールデンゾーンに、日常使いのモノを収納することで、出し入れしやすいために片付けやすく、管理しやすくなります。ゴールデンゾーンは人によって範囲が違うので、それぞれのゴールデンゾーンを知ることや、だれのゾーンに合わせて収納を作るかを決めておくことが大切です。また、子供たちを含め家族全員が協力して片付けを行うためにも、収納内に誰かひとりだけではなく、何人かのゴールデンゾーンを取り入れることや、可動棚を活用することは役立ちます。

ゴールデンゾーンを意識した収納で片付け上手を目指しましょう!