コロナウイルスだけではなく、インフルエンザなどのウイルスも気になる季節になってきました。そのため、定期的な換気が勧められています。しかし、寒い時期は家の換気をすることに抵抗があるかもしれません。
正しく換気を行いつつも、出来るだけ寒さを防ぐためには、どのような家づくりをすれば良いのでしょうか?ご紹介したいと思います。
1. 換気は義務化されている!?
断熱性が高い最近の家では、窓を開けずとも、換気が出来る家になっています。どのように換気しているのか、また正しく換気されていない現状についても、ご説明したいと思います。
24時間換気システムとは?
平成15年(2003年)7月1日に改定された建築基準法により、シックハウス症候群対策として、家具などが発散する化学物質を室内に滞留させないために、換気設備の設置が義務付けられました。例えば、住宅では1時間当たりに部屋の空気の半分を入れ替えることが出来る換気設備が義務化され、戸建でもマンションでも24時間換気システムが導入されています。
意外と換気されていない!?
新築や大規模リノベーションを行った家には24時間換気システムが設置されているものの、平成15年前に建った家では義務化されていないので、機械による換気が行われていないのが一般的です。リフォームやリノベーションを行っていても、大規模ではなく自治体による完了検査が必要のない規模の場合は、設置していないケースが多いのも現状です。
そのうえ、24時間換気システムが設置されている家でも、音がうるさいことや電気代がかかること、冬には冷気が入ってくることを原因に、換気システムを止めていたり、吸排気口を閉めていたりして、正しく換気を行っていないという家も少なくありません。
また、換気システムが無い家であれば、窓を1時間に5~10分程度開けて換気するのが良いと言われています。1時間に10分間の換気を1回するよりも、1時間に5分間の換気を2回行う方が効果的とされています。しかし、窓を開けることは天気や温度に左右されることや寒い季節には、意識して頻繁に換気することに難しさを感じるかもしれません。
2. 正しく換気が行える家にリノベーションするには?
24時間換気システムを設置しても正しく換気が出来なければ意味がありません。24時間換気システムを導入しない場合でも、どのように正しく換気が出来る家にリノベーションし、上手に換気が行えるのかをご説明したいと思います。
効率的に換気が出来る窓の位置を意識する
最近は開閉できないはめ込みタイプのモダンなFIX窓が人気ですが、正しく換気を行うためには、部屋に開閉できる窓を設けることがおススメです。さらに、空気の動きに応じた位置に窓を設置することや、窓を開ける場所を意識することで効率的に換気が行えます。
例えば、空気が流れる距離が遠い方が部屋全体の空気が動き、入れ替わります。そのため、距離が近い位置に窓を設置したり、隣り合わせの窓を開けたりするよりも、部屋の対角線上の壁に窓を設置して開ける方が、効率的に風が流れ換気が行えるので、寒い季節に長時間窓を開けることを避けられます。
また、吸気部分は小さく、排気部分は大きくした方が、勢いよく空気が入り出ていくという性質を活かして、風が流れる向きを考えたうえで、小さな窓から大きな窓に風を流すように、窓のサイズを調整することによって効率的に空気を流すことが出来ます。デザイン的に同じサイズの窓を設置する場合には、窓を開ける際に、開ける広さを意識することで流れを良く出来ます。
さらに、窓が1つしかない部屋でも、窓から風を取り込み、換気扇を使って外に排気することが可能です。キッチンの換気扇や洗面所やトイレの換気扇を活用して換気が行えないか、窓と換気扇の位置や距離を意識して間取りを考えることも効果的です。
換気を行ううえで、窓を設けることがベストですが、窓のない部屋や換気扇しかない空間でも、空気の流れの特性を意識することで換気が行えます。例えば、部屋のドアを開けて、窓のある部屋や換気扇のある部屋に扇風機などで風を送れば、他の部屋の窓や換気扇から空気が排気されます。そのため、窓が設置できない部屋でも、室内の空気が他の部屋に通り抜けやすい位置にドアを設けたり、室内窓を設けたりすることで、空気が流れる導線を確保して換気が行えます。
部屋が寒くなりすぎないように換気をするには?
窓を開けて換気を行うと冷気が入ってしまうことは避けられませんが、家の中を充分暖かい状態にしておくことで、換気によって家の中が寒くなりすぎることを防げます。
その点でも、断熱性が高い建材を使ってリノベーションをしておくことが重要です。また、冬に換気を行う場合は、暖房機器などでまずは部屋を暖めたうえで窓を開ければ、床や天井、壁が冷えすぎずにすみます。
また、空気は暖かいところから冷たいところに流れる特性があるので、窓を開けることで室内の暖かい空気が自然に外に流れ出ます。そのため、冬は夏よりも窓を開けている時間が短くても換気が出来ます。また、特性を活かしてエアコンで暖まる場所から遠い窓を開けるようにしましょう。空気の流れがよくなるうえ、エアコンに冷気があたって負担をかけるということも避けられます。エアコンを設置する際には、冬に換気のために開ける窓の位置とセットで考えてみましょう。
3. まとめ
平成15年以降に建った家では24時間換気システムが導入されていますが、それ以前に建てられた家では機械による換気が行われていないのが一般的です。しかし、空気の流れの特性を活かして窓の位置や間取りを考えてリノベーションを行えば効率的に換気が行える家にすることが出来ます。窓を設ける場合は、対角線上に設けることや、サイズを変えて空気が流れやすくすること、排気に活用できる換気扇や窓の位置を踏まえて、ドアや室内窓、エアコンを設けることがポイントです。
寒い季節でも、充分な換気を行い、快適で健康的な暮らしが送れる家づくりをしましょう。