世田谷区はマイカー不要の車の無い生活が送れる便利な地域ではありますが、ライフスタイルが変わったことで車が必要になったり、家族の人数や成長に合わせて大きな車の購入を考えたりする方が増えています。特に築年数が古い家は、駐車場が無かったり、車1台分のスペースだったり、十分な広さが無くて毎日の駐車がストレスになったりしているかもしれません。そのため、駐車場を新しく設けたり、停められる台数を増やしたりしたいという方は少なくありません。しかし、玄関アプローチや庭など限られたスペースの中で駐車場を増設することは可能なのだろうか、と感じるかもしれません。

車を停めるためにはどれぐらいのスペースが必要となるのでしょうか?使いやすい駐車場にするためには、どんな点に注意してレイアウトすると良いのでしょうか?新たに駐車場を設けたり拡張したりする際の広さや注意点をご説明したいと思います。

1. 駐車場を作るにはどれぐらいの広さが必要なの?

家に駐車場を作るうえで基準と出来るのは、車庫証明(自動車保管場所証明書)が取得できる広さです。法律上どれぐらいの広さが必要となるのか、実際に生活していくうえで使いやすい広さはどれぐらいなのかをご紹介したいと思います。

■駐車場を作るために必要な広さは?

自宅に駐車スペースを作るにあたり、広さに関して厳格な法律はありませんが、車を登録するために必要な、車庫証明を取得できる、国土交通省が定めた広さを指針とすると安心です。

車庫証明を取得するには、車両より各方向50cm以上の余裕があることと、2m以上の道路に接することが駐車場の条件です。また、参考となる広さとして標準駐車場条例では、施設や共同住宅の一般駐車場寸法として、長さ6.0m×幅2.5m、車椅子使用者用として、長さ6.0m×幅3.5mという基準が設けられています。

さらに、車種によって基準となる駐車場寸法が下記のように設定されています。

・軽自動車:長さ3.6m × 幅2.0m

・小型乗用車:長さ5.0m × 幅2.3m

・普通乗用車:長さ6.0m × 幅2.5m

・小型貨物車:長さ7.7m × 幅3.0m

・大型貨物車・バス:長さ13.0m × 幅3.3m

不特定多数が用いる一般駐車場寸法より、軽自動車や小型乗用車の基準となるスペースは狭く設定されているので、限られた範囲で駐車スペースを増設しなければいけない場合は、軽自動車限定で駐車場を作ることによって駐車スペースを確保出来るかもしれません。

■車が入る広さと使いやすい広さは違う

車が置ける広さという点では、国土交通省が定めた基準となる駐車場の広さが確保できれば問題ありませんが、日常的に乗り降りをしたり、荷物の出し入れをしたりすることを考えると、ライフスタイルや家族構成、車種などによって使いやすい広さは違ってきます。

例えば、幼い子供がいてベビーカーを出し入れしたり、チャイルドシートに座らせたりする動作が必要であれば、車椅子を利用する場合の駐車場寸法である幅3.5mを参考にする方が動きやすい広さを確保できます。またスライドドアかヒンジドアかによっても、乗り降りしやすい広さが変わってきます。

さらに、アウトドアが趣味の方などは、トランクから荷物を出し入れすることが多いかもしれません。幅は一般的な駐車場寸法にしても、長さは、トランクを開けた状態でモノを出し入れできる長さを確保しておけば、荷物を出し入れする時に道路に車がはみ出したり、毎回停め直したりする必要がなくて便利です。

どんな車に乗るかという点も関係しますが、誰が何のために使うか、という点も考えて広さを確保しましょう。

2. 新たに駐車場を作る時の注意点とは?

建物とエクステリアをセットでプランニング出来る新築とは違い、既存のものがあるリフォームならではの難しさもあります。リフォームで新たに駐車場を作る際にはどんな点に注意すると良いのか、ご紹介したいと思います。

■エクステリア全体のレイアウトを意識する

駐車場のスペースを考える際には、車のサイズだけではなく、関係するエクステリアの設備も含めて広さを決めることが大切です。例えば、カーポートを設置したいのであれば、カーポートの支柱が立つ場所を確認して確保しなければいけません。また、門扉やチェーン、車止めの有無、隣地との境界に塀が必要かどうかによっても広さが変わります。

さらに、玄関周りや前庭を活用して駐車場を増設する場合は、門柱やポスト、インターフォンの移設が必要にならないかを、確認することを忘れないようにしましょう。車は出し入れしやすくなったものの、ポストが使いづらい位置になったり、移設したことで配送員が車の横を出入りして危険だったり、防犯面が弱くなったりすることもあります。

他にも、庭木など植物が伸びた時に車に当たってしまわないか、枯れ葉や果実が車に落ちて汚れてしまわないかなど、植栽の位置や成長度合いも意識しておくことは大切です。場合によっては、剪定の回数が増えたり、移植や撤去が必要になったりするかもしれません。

このように、駐車場だけではなく、エクステリア全体のレイアウトを意識しておかなければ平面図上では車が入るスペースを確保できていても、実際にはカーポートや門扉が邪魔で駐車できなかったり、死角が出来て危険になったりするかもしれません。

■駐車場と家までの動線を意識する

使いやすい駐車場にするためには、駐車場と家までの動線をシンプルにすることが大切です。動線が短くシンプルであれば、日々のストレスを軽減できるだけではなく、災害時に避難する際にもスムーズに動くことが出来て安心です。

リフォームの場合、玄関の位置は決まっているので、車を降りて玄関まで最短距離で行ける方向で車を停められるようにしたり、最短距離になるようにアプローチを設けたりすることが出来るかもしれません。駐車場の一部とアプローチを兼用すれば、動線を短くできるうえに、どちらの広さも確保できます。また、裏庭のスペースを活用して駐車場を作る場合など、玄関から遠くなる場合でも、勝手口や倉庫など、出入りしやすく、荷物を運び入れしやすい動線を確保しておくと便利です。シューズクロークにドアを設けて出入り口を増やすという方法もあります。

さらに、雨の際に車から玄関まで濡れずに行けるようにカーポートと玄関の庇が繋がるように設置するなど、天候に影響されない駐車場にすることも、無駄のない動線を確保するうえで効果的です。

3. まとめ

自宅に駐車場を作る場合、駐車場の広さには厳密な法律はありませんが、国土交通省が定めている一般駐車場寸法の長さ6.0m×幅2.5m、車椅子使用者用として、長さ6.0m×幅3.5mという広さを参考にできます。車庫証明を取得するためにも、最低限この寸法を確保しておく必要がありますが、使いやすい広さを確保するのであればライフスタイルや家族構成、車種に合わせることが重要です。また、駐車スペースだけではなく、家のエクステリア全体のレイアウトや玄関までの動線もセットで考えることが大切です。

使いやすい広さやレイアウトの駐車場を設けて、カーライフを楽しみましょう!