
キッチンリフォームでは、キッチン選びに時間をかける方は少なくありません。使いやすいキッチン、オシャレなキッチンにするために、キッチンそのもののサイズやデザインから始まり、食洗器のメーカーや水栓、ガスコンロやIHなど、細かな点を検討する必要があります。選択しなければいけないことの中には、キッチン上部の吊戸棚をどんなサイズや仕様にするかも含まれます。そもそも、吊戸棚自体が必要かどうかを検討する方も増えています。
そこで、今回はキッチンの吊戸棚が我が家にとって必要なのか、採用に迷ったときに、どんな点を考慮すると良いのか、ポイントをご紹介したいと思います。
1. 吊戸棚が必要かメリットとデメリットを考えよう!
キッチンの吊戸棚を設置すべきかどうかを迷っているのであれば、まずは吊戸棚を採用した方が感じているメリットとデメリットを確認してみましょう。そして、それが自分の家にも当てはまるのか、我が家にとって本当にメリットになるか、デメリットであっても解決策はあるのかを考慮しながら見てみましょう。
■キッチンの吊戸棚を設置するメリット
●収納力がアップする:吊戸棚を設置する最大のメリットとも言えるのが、キッチンまわりの収納力がアップするという点です。キッチン自体の幅が狭かったり、パントリーがなかったり、キャビネットや食器棚を設置するスペースが限られていたりするお宅では、吊戸棚を採用することで、収納スペースが増え片付いたキッチンにすることが出来ます。
●デッドスペースの有効活用が出来る:作業スペースの上部や壁面部分など、床面積を圧迫することなく収納スペースを増やすことが出来ます。収納以外ではほとんど使うことが出来ないデッドスペースを最大限に生かすことが出来ます。また収納以外にも、水切りかごを置く場所が限定されるお宅では、吊戸棚部分に水切り棚をつけることで食器を乾かすことが出来て便利です。
●作業効率がアップする:作業スペースのすぐ上にオープンタイプの吊戸棚を設け、調味料や調理器具、食器を置けるようにすることで、移動することなく料理が行え、家事の時短につながります。
■キッチンの吊戸棚を設置するデメリット
●出し入れがしづらい:使う人の身長の高さによっては、吊戸棚にあるものが見えなかったり、踏み台を使わなければ出し入れ出来なかったり、体力によっては、重いものを持ち上げたり下ろしたりすることが難しかったりして、収納場所としては使いづらいと感じている方が多くいらっしゃいます。少しでも収納力をアップさせたいと採用したものの、出し入れが億劫で使わなくなったり、何年も出し入れせず何が入っているか分からなくなっていたりするケースも少なくありません。
●圧迫感が出る:上部に棚があることで、圧迫感が出てしまう場合もあります。特に対面キッチンを採用したお宅では、LDKの解放感が吊戸棚によって半減してしまったり、手元が暗くなってしまったりして後悔したというケースも少なくありません。
●照明器具の選択肢が狭まる:キッチンメーカーが販売しているシステムキッチンの場合、吊戸棚には照明がセットになっています。吊戸棚があるうえに、照明もついているので、自分で照明器具を選ぶ必要がないものの、好みの照明を選べないというデメリットもあります。対面キッチンにペンダントライトが設置できないなど、吊戸棚を採用することで照明器具の選択肢が狭くなり、キッチンやLDKのオシャレさ、見た目にも影響します。
●地震時の危険がある:開き戸タイプやオープンタイプの吊戸棚の場合は、地震時に物が上部から落ちてくる危険があります。地震時の被害を防止するためには、引き戸タイプやロックがかかるタイプの採用を検討しましょう。
2. 後悔しない吊戸棚にするためのポイント
吊戸棚を設置することを決めたのであれば、サイズやデザイン、仕様など細かな点を検討することで、後悔しない吊戸棚を取り入れることが出来ます。どんな点を意識すると良いのか、ポイントをご紹介したいと思います。
■設置の高さ・棚のサイズ・仕様を確認する!
キッチンメーカーが出している吊戸棚のサイズには規格サイズがあります。下記が一般的なサイズです。
ロング:高さ90cm ミドル:高さ60㎝・70㎝ ショート:高さ50㎝
天井の高さや間取り、窓の高さなどによって設置できる吊戸棚のサイズが異なりますが、一般的なシステムキッチンのセットになっている吊戸棚であれば、高さ2m35㎝に合わせて設置されます。ロングであれば、吊戸棚の底面の高さは床から1m45㎝の位置になります。どの高さが自分の身長に合っていて、取り出しやすい高さなのか、メーカーのショールームなどで実際に動作確認をしてみましょう。
また、どこに調味料や鍋などの調理道具を置くとスムーズに料理が出来るのか、身長にあった高さにすることはもちろん、家事動線や料理の流れを考慮したうえで、設置場所を決めることで使いやすい棚になります。例えば、調理スペース上の目線の高さに調味料を置けるオープン棚を設置すれば、すぐに調味料を取り出せます。また、シンクの上に水切り棚がくるように設置すれば、食器の水分が直接シンクに落ちるため掃除もラクになります。
さらに、キッチンの通路幅の確認も重要です。吊戸棚の利用の際に、踏み台や椅子に乗る場合は特に、踏み台を置くスペースの確保に加え、開き戸の場合は安全に扉を開閉できるか、物を上げ下ろしする際にも十分なスペースが確保できるかを確認しておきましょう。確認時に動作のしづらさを感じたのであれば、通路幅を広げることや、吊戸棚をオープンタイプや引き戸タイプにしたり、踏み台がいらない高さにしたり、昇降タイプを採用するなど、安全に使用できる仕様を検討しましょう。
■オーダーメイドであればデザインも仕様もお気に入りに!
キッチンを使う人の身長や体力に合わせた高さや、オシャレなデザインの吊戸棚にしたいのであれば、メーカーのものではなく、オーダーメイドにするのが一番使いやすい棚になります。また、採用したい照明器具とのバランスも考えた位置やサイズにすることも可能です。
キッチンとの統一感を出すのであれば、キッチン丸ごとオーダーメイドキッチンにすることも出来ますし、吊戸棚部分だけ、大工さんや家具屋さんに作ってもらうことも出来ます。
さらに、吊戸棚部分だけはDIYするという方法もあります。まずは、吊戸棚なしのキッチンにリフォームをしたうえで、実際にキッチンを使いながら、料理をスムーズに行ううえでどこに何が必要なのか、どの高さが使いやすいのか、確認して後付けすることが出来るかもしれません。リフォームによって間取りが変わったりキッチンサイズが変わったりする場合は特に、キッチン自体の使い勝手が今までと違うので、吊戸棚の採用を後悔しないうで、効果的な方法です。収納スペースは特に必要ないと判断すれば、そのまま吊戸棚を設置しないという結論に至る場合もあるかもしれません。
どちらの場合でも、吊戸棚を設置する可能性があるのであれば、キッチンリフォームの時点で、吊戸棚を後付けする可能性があることを伝えて、天井や壁面に補強を入れてもらいましょう。
3. まとめ
キッチンリフォームの際に、吊戸棚を採用すべきか悩んでいるのであれば、採用したことによるメリットとデメリットを考えてみましょう。吊戸棚を設けることで、デッドスペースを活用して収納力をアップしたり、作業効率をアップしたりできるかもしれません。しかし、一方で設置高さによっては出し入れがしづらかったり、圧迫感が出たり、照明器具の選択肢が狭まったりするかもしれません。採用する際には、サイズや高さ、設置位置を使う人の身長や体力に合わせて検討しましょう。より暮らしに合った吊戸棚にするために、オーダーメイドで作ったり、DIYで後付けしたりするという方法もあります。
キッチンリフォームで吊戸棚の採用を悩んだ際には、自分の家の暮らし、家事や料理での動きを改めて分析して、メリットの多い方を選びましょう!