洗面脱衣所とは別に家事が行いやすいようにランドリールームを設ける家が増えています。また、洗面所と脱衣所を分ける間取りも流行っています。しかし、限られたスペースで部屋数を増やして間取りを考えることに難しさを感じる方は少なくありません。そもそも、洗面所と脱衣所、ランドリールームは分ける必要があるのでしょうか?
洗面所・脱衣所・ランドリールームを設けるうえで、どのような間取りにすると使いやすいのか、間取りを考える際のポイントをご説明したいと思います。
1.洗面所・脱衣所・ランドリールームは分けた方が使いやすい?
それぞれの部屋を分けるかどうかを検討するうえで役立つのは、それぞれの部屋がどんな用途で使われているのか、用途として重なっている部分と別個の部分を把握しておくことです。どの部屋を分けて、どの部屋をセットにすると良いのか、一般的な使われ方を確認してみましょう。
洗面所・脱衣所・ランドリールームの用途
洗面所:洗面化粧台があり、手洗い、洗顔、歯磨き、洗髪などを行うスペースです。トイレ後の手洗い場として使うケースもあります。また、洋服や靴などの汚れを手洗いするために洗面所を使うこともあるかもしれません。さらに、洗面所で化粧をする方もいらっしゃいます。そのため、洗面所としての用途では、洗面化粧台が置けるスペースにプラス人が立てるスペースとして1畳以上は必要となります。
脱衣所:入浴時に服を脱ぐ、入浴後に体を拭いて服を着るための部屋なので、0.75畳~1畳ほどのスペースがあれば動作が行えます。場合によっては、バスマットやバスタオルを干しておくスペースが欲しいという方もいらっしゃいます。基本的に入浴とセットなので浴室に隣接した部屋になります。
ランドリールーム:洗濯専用の部屋として洗濯機を置き、洋服を干すためにハンガーにかける作業を行ったり、室内干しスペースとして活用したり、洗濯物を取り込んで畳んだり、アイロンをかけたりします。ランドリールームに洋服やタオルの収納ボックスや棚を設けている方も少なくありません。
ランドリールーム・洗面所・脱衣所をセットにしたい理由と分けたい理由
各部屋にそれぞれの用途があるとはいえ、重なる部分もあります。特に、全ての部屋の用途に関係するものとして洗濯機があります。脱衣所に洗濯機があれば脱いだ服をすぐに洗濯機に入れることが可能です。洗面所に洗濯機があれば、手洗いしたものを洗濯機に入れやすくなります。ランドリールームに洗濯機があれば洗濯物を移動させることなく、すぐに干すことが出来ます。
このように洗濯機は全ての部屋に関係するものです。そのため、ランドリールームと洗面所と脱衣所をまとめたひとつの部屋とするなら、洗濯機に対するアプローチはしやすくなります。しかし、それぞれの部屋を分ける場合は、洗濯物の移動をどのタイミングで行う必要があるのかを考え、自分の家事のスタイルに合ったラクな流れは何か確認して、洗濯機をどこに置くかを検討しておくことが重要です。他にも、入浴後に髪を乾かす方、化粧をする方にとっては洗面所と脱衣所がセットの方がひと部屋で完結するのでラクです。
一方でそれぞれを独立させたい下記の理由もあります。
洗面所:手洗いメインの場合は独立させた方が来客時に生活感を見られずにすむ
脱衣所:入浴したい家族と家事をしたい家族が自由に動きやすい・換気しやすく浴室の湿気が脱衣所以外の部屋に広がるのを防げる・独立していれば小さなスペースで良いので寒さを防げる
ランドリールーム:家事の途中でも隠せる・家事室として使える・部屋干ししても邪魔にならない
これらの点が暮らしやすさを求めるうえでの優先順位として高いのであれば、各部屋を分ける方が満足度の高い家になるかもしれません。
2.使いやすい洗面所・脱衣所・ランドリールームにするには?
それぞれの部屋の用途と、自分のライフスタイルを照らし合わせることで、それぞれ個別に分けた方が良いのか、セットでも問題ないのかが導き出しやすくなります。そのうえで、洗面所・脱衣所・ランドリールームを使いやすくするためにリフォームの際にどんな点を意識すると良いのかポイントをご紹介したいと思います。
部屋を分けるかよりも導線が大事!
各部屋が広ければ使いやすくなるわけではありません。部屋を分けてそれぞれ広いスペースが取れるよりも、それぞれの部屋を兼ねてセットにして使う方が、導線が短くなって使いやすい場合もあります。間取りを考える時に、最優先させたいことがプライバシーを守りたいということや、家族が多いため動きやすくしたいということであれば分けることにメリットがありますが、家事のしやすさを考えるのであれば、部屋を分けることよりも導線が良いかどうかを意識しましょう。
例えば、洗面所は手洗いをメインで考えるのであれば、脱衣所やランドリールームとセットにすることや、場所を近くにする必要はなく、むしろ玄関の近くやトイレの近くが便利だと感じるかもしれません。しかし、トイレに手洗い器がある家では、トイレから離れていても問題ないですし、外出が少ない家や玄関先にセカンド手洗い器がある家では、玄関先にも必要ありません。誰がどこからアプローチすることが多いのかを確認することで使いやすい位置に洗面所を設けることが出来ます。洗面所の場合は、洗面化粧台を使いやすい場所に設置できれば、そもそも部屋にする必要性もないかもしれません。
ドアの種類を考える!
洗面所・脱衣所・ランドリールームを、一時的に区切ることさえ出来れば、それぞれを分けて個室にする必要性がないケースもあります。例えば、来客時や他の家族から見えないようにするだけであれば、部屋は同じでも間仕切りスクリーンやドアを設けるだけで、限られたスペースでも区切って使えます。
反対に、脱衣所とランドリールームなど部屋を分けることを優先させたい場合でも、家事を行う際には、ドアが無い方が導線はスムーズになるかもしれません。その際には、あえてドアを設けずロールスクリーンやのれんなどで、ゆるく仕切ることがおススメです。ドアを設けないことで採光や風通しを良くしたり、リフォーム費用を抑えたりできるメリットもあります。
各部屋を分ける場合も分けない場合も、間仕切りやドアの種類を考えて設置することで使いやすさがアップします。
3. まとめ
一般的にひとつの部屋として当たり前になっている洗面所と脱衣所、あると便利だとされているランドリールームは、用途や使い方、導線を考えて各部屋を分けるべきか、セットにすべきかを決めましょう。洗面所は手洗いがメインであれば、脱衣所やランドリールームと分けたり、導線の良い場所に洗面化粧台だけを設置したりする方が使い勝手が良くなるかもしれません。また、洗濯機をどこに置くのかを考えて間取りや導線を決めることも重要です。ドアの有無や種類も意識しましょう。
洗面所と脱衣所、ランドリールームといった生活の中心とも言える水回りの間取りを良くすることで、暮らしやすい家にしましょう。