
リノベーション工事を始めるまでに、依頼する会社を選ぶ必要があります。リノベーションが成功するかどうかの大きな分かれ道と言っても過言ではないほど、会社選びは重要です。しかも、大抵の場合工事までに大きく分けて2回会社を選ぶことになります。1回目は、『見積りを依頼する会社を選ぶ』時、そして2回目は、『契約する会社を選ぶ』時です。数多くある会社から選ぶ1回目、2~3社に絞り込んだうえで理想を託す2回目の選択どちらのタイミングでも、リノベーションを成功させるためには、それぞれのタイミングで注意しておきたいことがあります。
リノベーションのプロが見てきた、多くの方が失敗しているポイントをふまえ、リノベーションで会社選びで失敗しないための秘訣を、それぞれのタイミングごとに解説したいと思います。
1. 見積りを依頼する会社選びで失敗しないために
リノベーションを成功させることが出来るかに最も関係すると言える会社選びの1回目、『見積りを依頼する会社』選びで失敗しないために、どんな点を意識すると良いのか、プロが解説したいと思います。
■リフォームではなくリノベ経験のある会社を!
リフォーム会社であれば、どの会社でもリノベーションを行えると思っている方は多く、そのために会社選びを失敗しているケースがあります。中には、リフォームは得意で有名な会社でも、リノベーションは行ったことがないという会社もあります。反対に、○〇リフォーム会社という名前でも、リノベーション経験が多く、得意としている会社もあります。
この点で失敗しないためには、まずはリフォームとリノベーションの違いを理解しておく必要があります。リフォームは、修繕や交換をメインとした工事です。水回りの設備機器を交換したり、内装材を張り替えたり、外壁塗装をしたり、今あるものを綺麗にしたり新しいものに交換したりする工事はリフォームです。それに対して、リノベーションは、間取りを変更して使い勝手を良くしたり、デザイン性を高めたり、今の設備機器や暮らしに付加的価値をつける工事のことを指します。
リフォームを専門とする会社にリノベーションを依頼しても、言われた通りの工事はある程度出来ても、間取りのプランやオシャレなデザインの提案を期待できません。構造を理解しておらず、耐震性を低下させるような工事を行ったり、普段は図面が必要のない工事ばかりなので、プラン図面すら出してくれない会社もあったりします。また、リノベーションの経験がないため、現実的な工事金額が分からず、見積り金額も曖昧なまま話が進むことさえあります。しかし、残念ながら多くのリフォーム会社がリノベーションも『出来る』と答えて仕事を受けようとしているのが現実です。
まずは、見積りを依頼したいと思っている会社が、リフォーム専門なのか、リノベーションの経験もあるのかを確認しましょう。また、リノベーションが出来るとうたっていても、実際にどんな工事を行っているのか、経験値を確認するためにも、施工例をチェックして、自分が依頼したいリノベーションと同系統の工事を行っている会社を選ぶようにしましょう。
■評判が良いことだけを重視しすぎない!
リノベーション後に満足できなかったと感じている方の中には、『口コミが良い、評判の良い会社に依頼したのに・・・』と言われる方も少なくありません。リノベーション会社を選ぶうえで、口コミや評判を確認することは重要です。しかし、それを重視しすぎるのは危険です。
なぜなら、リノベーションはオーダーメイドで行うもので、ライフスタイルや好みも施主によって違うため、良い工事だと思える基準は異なるからです。評判が良いのは、先に取り上げたようにリフォーム工事に関してのみ当てはまっているだけという場合もあります。また、木造在来工法の家に関しては経験値が高く、得意なために口コミが良くても、ツーバイフォー工法の家に関しては知識がないという会社もあります。他にもオシャレなリノベーションに定評があっても、本格的な海外スタイルのデザインには精通していないという会社であれば、輸入住宅をリノベーションする方には満足できない提案になるかもしれません。単純に口コミ、評判が良いかどうかだけではなく、その内容をしっかりと確認しましょう。
マンションか戸建てなのか、在来工法なのかツーバイフォー工法なのか、自分の家の構造や理想のテイストやデザインにあてはまるリノベーションに関しての評価が高評価かどうかを確認することが重要です。
2. 契約する会社選びで失敗しないために
見積を依頼するために絞り込んだ会社から、最終的に一社に決定する2回目、『契約する会社』選びで失敗しないために、プランや見積りを比較するうえでどんな点を意識すると良いのか、プロ目線で解説したいと思います。
■見積書だけでは分からない『追加費用』を確認してみよう!
理想を伝えてリノベーションのプランを立ててもらうので、大まかな間取りやデザインは、最終的にはどの会社も似たものになってくるかもしれません。そのため、お気に入りのプランがある程度絞り込まれると、最終的に比較するのは金額部分になってきます。見積書の金額を比較して、最終金額が安いところ、割引率が高いところを選びたいと思うものです。しかし、その点で注意しておきたいのは、見積書に詳細が載っていない『追加費用』です。
築年数が経っている建物は特に、解体してみなければ分からない部分があり、リノベーションでは追加費用が付き物です。予想以上に構造体や給排水管が腐食していることもあり、契約時には分からない部分は、契約時に追加費用がかかるケースがあるとの記載や説明のうえで契約することになります。
しかし、悪徳業者の中には、追加費用が発生しやすいリノベーションの仕組みを利用して、見積書では安い金額にして契約をもらい、発生した追加費用に上乗せして、しっかり貰えば良いとしている会社もあります。施主も工事が始まってしまうと、工事を止めるわけにはいかないと思い、想定以上の金額になっても仕方がないと諦めて追加費用を払ってしまい、最終的には相見積もりをしたどの会社よりも一番高くなってしまったというケースも多くあります。
追加費用がかかる部分は分かりづらいとはいえ、契約の前に、それぞれの会社に予想される問題点や、その場合にかかる追加費用の想定額を聞いておくようにしましょう。質問をすることで、どんな事態を想定して工事金額や工事期間を決めているのか、どこまで見積書に含まれているのか、予想される事態が実際に発生した時に、どんな対策をとってくれるのかが分かるうえに、より具体的な金額を比較することが出来ます。
■説明と連絡に不安のない会社を選ぶ
リノベーションは契約をすることが最終地点ではありません。むしろ契約からがリノベーションの本格始動となり、契約を結んだ会社とは今まで以上に家づくりのパートナーとして密に関わることになります。そのため、契約前にその関係性が確立できるかどうかの最終審査をするつもりで会社選びを行う必要があります。工事が始まってからもスムーズでオープンなコミュニケーションがとれるかを確認するために、十分な説明が行われているか、連絡や対応を頻繁にマメに行ってくれる会社はどこかを比較するようにしましょう。
例えば、プランと見積り内容を細かく、分かるまで説明してくれたか、契約後の流れやスケジュール、工事の流れなどを分かりやすく説明してくれたか、どの会社が不安なく十分に理解できるまで向き合ってくれたかなどを比較しましょう。また、確認や質問をした際に連絡があるか、対応を迅速にしてくれているかも大事です。
工事が始まる前の時点で連絡不足や対応不備があると、工事が始まってからはなおさら不安が募るばかりです。信頼できるパートナーとして不安の残らない説明と、連絡があるかを確認しましょう。
3. まとめ
リノベーション工事に至るまでに、見積りを依頼する会社選びと、その中から契約をする一社を選ぶ2回あります。見積りを依頼する会社を選ぶ際には、リフォームだけではなく、リノベーションにも対応し、施工経験が豊富かどうか、会社としての評判が良いことだけを重視せずに、どんな構造の住宅やテイストのリノベーションに定評があるのか、口コミの内容をよく確認したうえで絞り込んでいきましょう。絞り込んだ会社から契約する会社を選ぶ際には、リノベーションに付き物ともいえる、追加費用をどれだけ想定し、どんな対応をする予定なのか、質問して見積書だけでは分からない部分も比較するようにしましょう。また、今後の信頼できるパートナーとして、十分な説明を行い、連絡をマメにとってくれる会社を選ぶことが重要です。
リノベーション工事までに2回もある会社選びを慎重に、不安を無くしながら進め、リノベーションを成功に導きましょう。