トイレドアに引き戸って実際どうなの?デメリットはあるの?

トイレのドアには一般的に開き戸が使われていますが、開閉の際に場所をとらないことや、体を動かすことなく出入り出来るバリアフリーの観点からも、引き戸を採用する方も増えています。しかし一方で、トイレに引き戸は止めておいた方が良いという意見も多くみられます。

実際のところトイレドアに引き戸を採用することに、どんなデメリットがあるのでしょうか?引き戸にしたお宅が感じているデメリットと、引き戸を採用するうえでどんな点に注意すべきかを、ご紹介したいと思います。

1. トイレドアを引き戸にするデメリットは?

トイレのドアを開き戸から引き戸にリフォームした方や検討した方が感じているデメリットで特に多い点を2つご紹介したいと思います。デメリットを把握したうえで、トイレのドアの種類を検討しましょう。

■音漏れ&臭い漏れが気になる!

開き戸と比較すると引き戸は気密性や防音性が低くなります。そのため、引き戸を採用したことで、開き戸の時よりも、トイレ内の音や臭い漏れが気になるようになったというデメリットの声は少なくありません。

特に、壁の外側にレール設置するアウトセット引戸や、バリアフリーに特化した下にレールがない上吊り戸は、引き戸の中でも気密性がさらに下がってしまいます。また、壁を半分の薄さにして、そこに扉を引き込む片引き戸は、先の2つの引き戸よりは気密性は高まりますが、袖壁が薄くなる分、防音性が下がってしまいます。

■開き戸よりもドア代が高い!

トイレドアに限らず、ドアは開き戸よりも引き戸の方が5,000~10,000円程高くなります。

実際、リフォーム費用を抑えるために、まずはドアの種類を見直す方や、本当は引き戸が良かったものの費用が高くなるために諦めた方は少なくありません。しかも、開き戸から引き戸にリフォームする場合は、ドアの商品代だけではなく、壁や床の工事範囲も広くなりますし、引き戸になる壁にコンセントやスイッチがある場合は、電気工事なども必要になるため、工事費用が高くなってしまうのが一般的です。壁の工事を最小限に抑えるのであれば、壁の外にレールを設けるアウトセット引き戸にする方法がありますが、上で取り上げた通り気密性が下がることを懸念する方は少なくありません。

ただし、介護保険の要介護認定や要支援認定を受けている方であれば、開き戸から引き戸にリフォームする際に、介護保険制度の住宅改修を活用することで補助金が利用できます。

2. トイレドアを開き戸から引き戸にする時の注意点

引き戸にはデメリットがあるものの、それを上回るメリットもあります。しかし、設置の仕方やレイアウトによってはデメリットが際立つ使いづらいトイレになってしまうので注意が必要です。引き戸へのリフォームの際に、どんな点を注意すべきか、ご説明したいと思います。

■手すりの位置を意識してドアを設置する!

高齢になるのに備えて、また介護が必要な方のためにトイレのドアを引き戸にリフォームするのであれば、手すりの設置位置を事前に確認することを忘れないようにしましょう。

引き戸を引き込むためのスペースには手すりを設置することが出来ないので注意が必要です。トイレの内側に引き込みスペースを設ける場合、便座に立ち座りする際に手すりを使いたくても設置したい壁が引き戸になっていると設置できないというケースがあります。バリアフリーにするために引き戸にしても、手すりが使えず安全にトイレを使用できないのであれば本末転倒です。また、中には手すりを使用していない方でも、無意識に壁に手をついて体を支えているという方もいらっしゃいます。どこに手すりがあると便利か、壁を支えにしていないか、トイレ内の動作を事前に確認して、便器の向きや位置、引き戸の位置や引き方向などトイレ内のレイアウトを決めるようにしましょう。

さらに、トイレの外側に引き込みスペースを取った場合も、引き込み部分の壁には移動のための横手すりやスイッチを設置することが出来ません。開き戸の時はトイレドアのギリギリまで手すりを設けることが出来たのに、引き戸にすることで手すりが途切れてしまい入りづらくなったというケースもあります。トイレ内だけではなく、トイレまでの動線と移動のための手すりの位置も確認して引き戸の方向を決めましょう。

■音漏れ&臭い漏れを意識したレイアウトにする!

引き戸の最大のデメリットとも言える音漏れ&臭い漏れを最小限に抑えるためには、間取りを考える際にトイレをどこにレイアウトするか、扉の位置をどこにするかをしっかり意識することが大切です。

例えば、リビングなどの人が集まるところに面してトイレを設けるのではなく、廊下や間仕切り壁を隔てるようにしましょう。

玄関席での来客対応が多いお宅では、玄関付近にトイレを設けたことで、音が気になって使いづらいと感じている方もいらっしゃいます。また、夜中にトイレに頻繁に行く家族がいると、トイレが寝室の横にあることで睡眠が妨げられるというケースもあります。

家族構成やライフスタイルによって、音漏れや臭い漏れが気になりやすい場所は異なり、どこに設けるのが正解かは暮らし方で違います。そのため、それぞれがデメリットを意識したうえで自分の家にあてはめてトイレの位置を決めることで、デメリットを軽減し、引き戸のメリットを最大限に生かした快適なトイレになります。

3. まとめ

場所を取らないことやバリアフリーの観点から、トイレのドアに引き戸を採用するお宅が増えています。しかし、引き戸は開き戸に比べ気密性や防音性が下がるため、音漏れ&臭い漏れが気になったり、ドア代やリフォーム費用が高くなってしまったりするデメリットがあります。デメリットを軽減するためには、メリットだけに目を向けるのではなく、音漏れ&臭い漏れのデメリットを意識したうえで、ライフスタイルに合った場所にトイレや引き戸をレイアウトしましょう。また、バリアフリーリフォームを行うのであれば介護保険制度を活用することや、トイレ内の動作を事前に確認して手すりと引き戸が緩衝しない位置にレイアウトすることが大切です。

トイレドアを引き戸にリフォームすべきか、我が家にとってのメリットとデメリットをしっかりと確認したうえで決定しましょう!