光熱費やガソリン代の高騰などで節約のため、また環境のことや健康のことを考えて、交通手段として自転車を活用している方は少なくありません。子どもの幼稚園の送迎や、進学に合わせて新たに自転車を購入したという方もいらっしゃいます。そんな中で、自転車を購入したものの、家の置き場に困ったり、防犯をしっかり行い、かつ自転車を長く使えるようにするためにどのように管理していけば良いのか考えたりしている方は多いかもしれません。
家のどこに自転車を置くスペースを確保することが出来るのでしょうか?家に自転車置き場を設ける際の注意点とともにご紹介したいと思います。
1. 家に自転車を置くスペースを確保しよう!
そもそも自転車を置くスペースは必要なのでしょうか?自転車を置くスペースを考えて家づくりをすることが大切な理由と、どのように場所を確保することが出来るかをご説明したいと思います。
自転車置き場が無いとオシャレな家が台無し!?
家の玄関ポーチ周辺や庭先に、とりあえず自転車を置けるスペースがあるという家は、自転車の置き場所をしっかり考える必要はあるのだろうか、と思うかもしれません。しかし、自転車は置き方次第で、防犯性が低くなったり、外観が悪くなったり、自転車の劣化が早まったりしてしまうので、しっかりと考えておくことが大切です。
例えば、道路に面した庭先で家の中から見づらい位置に自転車を置くのであれば、盗まれる確率が高くなり防犯性が低くなってしまいます。家の敷地からはみ出してしまえば、通行者の迷惑にもなります。また、1台だけではなく、家族全員分の自転車数台が並ぶことによって、庭や玄関ポーチのデザインを台無しにしてしまい、オシャレさが半減してしまうかもしれません。さらに、自転車は雨ざらしに置くよりもサイクルポートなどを設け屋根があることで劣化を防ぐことが出来ます。そもそも家の中であれば、防犯性も高く天気の心配もありません。
他にも自転車をどこに置くかで、家の出入りや外への出入りのしやすさや荷物の運びやすさなども変わります。通勤や通学に使っていると、毎日のことになりますし、自転車を利用していない家族の通行の邪魔になる場合もあり、導線の良さは暮らしの快適さにもつながります。
リフォームやリノベーションのタイミングで、自転車の置き場所や置き方を考えておくことは大切です。
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自転車スペースはどこで確保する?
具体的に自転車を置くスペースを確保しようと思うのであれば、自転車のサイズを把握しておく必要があります。自転車の種類やデザインによって多少のサイズの違いはありますが、大人用の自転車はJIS規格で長さ1,900㎜以下、ハンドルを含む幅600㎜以下と決まっています。自転車1台を置くスペースとしては少なくとも60×180㎝程の広さが必要になるということです。さらに、自転車を押して入る人の通路分や、ハンドルに手をかけるため、肘が広がることも考えておかなければいけません。家族分の自転車があれば、さらに広さが必要です。4台の自転車を置く場合は、3.5畳ほどのスペースが必要となるので、前もってスペースを確保して玄関まわりや間取りを考えておくことは大切です。
自転車を置く場所としては、庭や玄関アプローチやポーチなどの外回りと、玄関の土間やガレージ、シューズクローク内などの家の中にスペースを確保することが出来ます。庭がないマンションでも家の中に置けるように間取りを変えることが出来るかもしれません。スポーツ用自転車などは、スタンドやポール、フックを利用して壁面に飾ることも出来ます。外であれば、雨がかからないようにサイクルポートを設けることも出来ますし、玄関ポーチの軒を活用したり外壁に自転車用の庇を設けたりして、雨がかからないようにすることも出来ます。
2. 家の中に自転車置き場を作る時の注意点
庭がある家でも自転車を置くほどのスペースは確保できない場合や、防犯上、家の中に置きたい場合など、家の中に自転車置き場を確保したいと思う方は増えています。その際に、どんな点に注意してレイアウトを考えると良いのかご紹介したいと思います。
出入りの導線もしっかり確認して計画を!
家の中に自転車を置く場合、自転車が置けるかどうか、置いた時の広さに関しては注意していたものの、スムーズに出し入れできるスペースがあるか、動きやすいかを確認し忘れて使い辛くなったという失敗例は少なくありません。
例えば、玄関から自転車を入れる場合、引き戸であれば入りやすいですが、開き戸であれば玄関ドアを開ける際に自転車をどこに停車させれば開閉の邪魔にならないか、スペースがあるかを確認しておく必要があります。玄関の段差が高ければ、出し入れが面倒になるかもしれません。スロープを設けることが出来るか、段差をできるだけ軽減できないか検討しておきましょう。
また、そこからシューズクローク内に入れるのであれば、何度もタイヤを切り返さなければ出し入れすることが出来ない間取りになっていないかも確認しましょう。切り返すうちに、壁や玄関框にタイヤや体をぶつけて汚れてしまうということもあるので注意が必要です。また、入れやすいものの、出す時にバックのみで出る必要があったり、切り返しが必要になったりすることもあります。自転車を入れる時だけではなく、出す時の動作も確認して、自転車と体のスペースを確保しておきましょう。さらに、自転車を置いた状態で、通行やドアの開閉の邪魔にならないかどうかの確認も重要です。
充分な導線やスペースが確保できない場合は、玄関以外の出入り口を設けたり、インナーテラスや自転車専用スペースなどの自転車が充分に置ける土間スペースを玄関付近以外に設けたりすることも検討できるかもしれません。
床材の種類にこだわる!
充分なスペースを室内に確保できたのであれば、内装材も考えておきましょう。特に外を走ったタイヤが直接触れる床材は、強くて掃除がしやすいものを選ぶことが重要です。土足以上に砂ぼこりが入ってしまいますし、床材の種類によってはタイヤの跡も残りやすくなります。各床材のメリットとデメリットをよく考えて適した材料を使うようにしましょう。
例えば、タイルは強度の点では効果的ですが、目地に汚れが溜まりやすいというデメリットがあります。タイルを採用する場合は、汚れの溜まりやすさを考慮してサイズの大きなタイルにして目地の数を減らしたり、水洗いできる間取りにしたりすることが出来るかもしれません。また、マットでモダンな雰囲気が人気のコンクリートやモルタル仕上げは、乾燥によってヒビが入りやすく、吸水性が高いのでシミになりやすいというデメリットがあるので、自転車を置くスペースには不向きかもしれません。しかし、汚れやシミを味としてとらえ、その雰囲気を楽しみたいという方や防塵塗装を行ない、汚れを防止するような仕上げを行うのであれば、コンクリートやモルタルも選択肢に加えることが出来ます。
3. まとめ
自転車を持っている方は多いですが、自転車を置く場所を意識して家づくりをしたという方は少ないかもしれません。しかし、自転車の置き場所次第で、自転車の盗難を防いだり、劣化を軽減したり、オシャレな家を保つことが出来るので、しっかりとスペースを確保しましょう。家の中に自転車を置くスペースを設ける際には、出し入れの導線や動きを意識して間取りやスペースを考えること、強度があり汚れにくい床材を選ぶことを意識しましょう。
よく考えられた使いやすい自転車置き場を家の中に設けることで、家を拠点に快適な日常を送れるようになるかもしれません。