
リノベーションで、どんなに理想を掲げても、どんなに良いプランでも、予算内に収めなければ、実現することが難しくなってしまいます。しかし、打ち合わせを重ねるうちにいつの間にか予算をオーバーしてしまい、『なぜこんな金額になってしまったのか分からない』、『どこを削れば良いのか分からない』、と壁にぶつかってしまう方は少なくありません。中には、多少の予算オーバーをしても、満足度の高いリノベーションが行えて、お金をかけて良かったと思う方もいれば、予算内に収めたにも関わらず、後悔が残る方もいらっしゃいます。
大規模リフォームやリノベーションなど工事範囲が広ければ広いほど、金額も増えるので、予算を調整することが難しくなってきます。予算オーバーを防ぐために、どんな点に注意すべきなのかリノベーションのプロが資金計画を行ううえでの大切なポイントをご紹介したいと思います。
1. リノベーション予算をオーバーしやすい人の特徴とは?
リノベーションで予算オーバーをしてしまうのには何かしらの原因があります。予算オーバーや後悔を未然に防ぐために、リフォームやリノベーションの打ち合わせを何百件も行ってきたプロだから分かる、予算オーバーをしやすい人の特徴をご紹介したいと思います。
■特徴1:必要な費用・相場を把握できていない人
チラシやテレビなどの広告向けの金額をもとに、安さだけを求めて予算を立てた方は、予算オーバーをしやすい傾向にあります。チラシやテレビでうたっているリノベーション費用は、客寄せのために破格の値段が載っていることがあります。また、設備機器や建材のみの価格で施工費や人件費が入っていないこともありますし、価格重視で性能が悪かったり、低グレードのものだったりすることも多くあります。しかし、それをもとに予算を考え、自分の予算ありきで打ち合わせに臨んだ方の中には、予算オーバーしてしまうことはもちろん、期待した金額でリノベーションが出来ないと分かりがっかりしてしまったり、相場の金額であるに関わらず、信用できない会社だと不信感を一方的に抱いてしまったりする方もいます。
また、そもそもリノベーションに必要な費用を把握できていないという方は、簡単に予算オーバーしてしまいます。何にどれぐらいかかるのか分かっていない状態で打ち合わせをしてしまうと、言われたままに契約してしまい、不必要に高くなってしまうこともあります。知識がない人をターゲットとした悪徳リフォーム業者もいるので、リノベーションに必要な費用や、地域相場などの知識はしっかり身に着けておきましょう。
■特徴2:優先順位が決まっていない人
どんな目的でリノベーションを行うのか、理想の暮らしにするための優先順位が決まっていない人は、ネットの情報に踊らされて全てよく見えて何でも取り入れたり、リフォーム会社から提案されるものをすぐに受け入れたりしていくうちに、予算オーバーしてしまいがちです。
費用が足りなくなるだけではなく、何が良いのか、何がしたかったのかまで分からなくなり、最初からプランや予算を見直さなければいけなくなることもありえます。
日ごろから優柔不断だと感じる方や、流行りに流されやすい方は特に、優先順位が定まっていないことで、人の意見に流されてしまう傾向があります。リノベーションを依頼する段階で、こだわりたい部分、譲れない条件、必要な設備機器の性能などの優先順位をきめて箇条書きにしておきましょう。
2. プロが教えるリノベで予算オーバーしないための計画とは?
ここまで予算オーバーしやすい人の特徴を見てきましたが、ここからは、上記の点を踏まえたうえで予算オーバーをしないために、どんな計画をすれば良いのか、プロの目線でご説明したいと思います。
■現実的な予算を立てる
予算オーバーをしないためには、まずは現実的な予算を立てることが大切です。そもそも設定した予算が現実的でなければ、必然的に予算オーバーをしてしまうので、リノベーションに必要な費用を把握しておきましょう。
リノベーションをしたいと思ったなら、早めに見積もりをとっておいたり、部分リフォームやメンテナンスの際に、次のリフォームやリノベーションしたい部分の大体の費用相場を聞いておいたりするなら、漠然とリノベーション費用を準備するのではなく、現実的な資金調達が行えます。
しかし、建材や設備機器が物価高騰の影響を受けて高くなることもあるので、今の相場を把握しておくことは大切です。また、リノベーションにかかる費用は、建材や設備機器代以外にも、工事費用や人件費、雑費など細かな費用が関係しています。さらに、欧米風、和風など得意なテイストがある会社は、取引のある建材やメーカーとの値引き率が高かったり、技術のある職人さんがそろっていて工期が短く人件費が抑えられたりするなど、選ぶ会社によっても金額が変わってきます。1社だけ見積をとると、相場が分かりづらいうえに、値引きのチャンスを逃すこともあるので、2~3社は見積をとることが大切です。
■理想の予算と調整するところの優先順位を決めておく
優先順位が定まっていないために予算オーバーをしてしまう方が多いので、リノベーションで譲れないポイントを決めておくこと、何のためにリノベーションを行おうと思ったのか目的を明確にしておくことなど優先順位をはっきりしておきましょう。家族で優先順位が違っていると、費用をかけたい部分にもズレが生じてしまい、妥協によって予算オーバーしてしまうこともあります。家族で優先順位を確認して決めておくことも大切です。
さらに、理想の暮らしの優先順位を決めるだけではなく、予算オーバーをしそうになったなら調整をするために、削る部分の順番を決めておくことも役立ちます。なぜなら、予算内に収めたことで後悔が残ってしまう場合もあるからです。予算内に収める際に、見直す部分や削る部分を見誤ってしまったことで、予算内で工事が出来ても満足度が低く、やはりお金がかかってでも工事しておけば良かったと後悔が残ることになってしまうケースは少なくありません。
予算オーバーは出来るだけ防ぎたいものですが、打ち合わせ段階、見積段階で予算オーバーをすることは一般的によくあることです。契約前に予算オーバーをしても調整できるので問題ではありません。後悔のないリノベーションを行ううえで大事なのは、予算オーバーをした時に、どこで調整するかという点です。
理想の暮らしの優先順位が低い部分から、予算オーバーをした場合に、どこを諦めるか箇条書きにしたり、見積書に書き込んだりしておくなど、具体的に決めておけば予算オーバーをしてもスムーズに調整が出来ます。
3. まとめ
リノベーション費用を計画していたにも関わらず、予算オーバーをしてしまい後悔が残る方は少なくありません。予算オーバーをしてしまう方に多いのは、リノベーションにかかる費用や地域相場を把握していないために、現実的な予算を立てられていなかったことや、優先順位を決めていなかったために、言われるままに何でも取り入れてしまうケースです。広告の破格の金額やネットの情報に踊らされることなく、現実的な予算を立てることや、しっかりと見積をとって、必要な費用を把握しておくこと、相見積もりをとって地域相場を確認しておくことが大切です。また、理想の暮らしに向けて、リノベーションで実現させたいことの優先順位を、家族で決めておくこと、見積段階で予算オーバーになったときに、どこを削るかの順番を決めておくことも予算オーバーをしないことはもちろん、後悔を残さずにリノベーションをする助けになります。
リノベーションで理想の暮らしを理想の金額で手に入れるために、しっかりと計画を行いましょう。